「環境農業新聞」令和4年12月15日第250号に「静岡県中遠地区青年農業士による函南農場視察」の記事が掲載されました

画像をクリックすると記事を拡大して読めます

環境農業新聞第250号
目次

日本豊受自然農に静岡県中遠地区青年農業士会が視察  
農家は加工し付加価値を ~発信力も大事と由井代表~  
未来の農業へ希望 視察大成功 ~御古菌が自然型農業転換への救世主~

 12月6日、日本豊受自然農=由井寅子代表(本社静岡県函南町)は、静岡県中遠地区青年農業士会のメンバー9名と静岡県中遠農林事務所生産振興課の鈴木課長と丸山さん2名の計11名の視察を受け入れ、その模様が「とようけTV」とインスタライブで生中継された。今回の視察は「日本豊受自然農を訪問したい」「農家が加工品などの六次産業化の取り組んでいる事例を学びたい」という青年農業士の皆さんの熱意から実現したそうだ。

 バスで到着した一行を食品加工棟で迎えた由井代表。最初に今年のアグリビジネス創出フェアでの自身の15分のプレゼンを上映。映像では昔ながらの6百種以上の土壌菌を自社培養で製造している「豊受御古菌」を活用した土作りと自家採種での自然農と六次産業化の取り組みを詳しく紹介している。参加者は御古菌を使った場合の収量の違いに驚いていたようだ。さらにスタッフが元気よく自社製品をPRしている姿も印象的だったようだ。

 次に由井代表自身が豊受の自然農の取り組みとその哲学について説明した。自然農では御古菌を活用した土作りと種の自家採取を重視し、畑の農作物を無駄なく生かしていくことにこだわり、安全安心で栄養ある食料を自然型・大規模農業で提供することがビジョンであること。伊豆の国市など地元の自治体と連携し耕作放棄地再生など地域への貢献を意識して展開していること。更に人材育成では働く人の心根が大事。加えて発展させていくには自らの農業の取り組みや特長を農家自身も情報発信してPRすることが大事と熱く語った。 

普通農家の発行するカタログでは一次産品の農産物のPRがメインだが視察で配布された豊受の商品カタログでは、一次産品はほとんど掲載されていず、200の加工品がページのほとんどを占めていて農林事務所の鈴木課長は驚かれたそうだ。一次産品の大根一本の販売ではとても従業員の給料を払っていけない。大根を切干大根やレトルト、自然化粧品に加工し付加価値がつけて販売していく六次産業化への取り組みに注力していると由井代表も発言。 

配信の現場を見学

その後、生姜畑に移動し「みなのTV」撮影・配信の現場を見学した。コロナ禍で落ち込んだ国民の気持ちを自然農の田畑からの生中継で癒し勇気づけたいと由井代表が年初から始めた「みなのTV」インスタ生中継。毎週火曜配信で第39回のお題は「生姜」。番組では農作物として生姜の健康・栄養面での素晴らしさを由井代表が解説。豊受農業部の社員が自然農での工夫点や栽培面での苦労話を披露した。最後に生姜を使った料理を以前はイタリアンレストランのシェフとして活躍していた加工部の横田美沙さんが圃場でクッキングし披露した。調理には東日本大震災でも活躍したアウトドア用ロケットストーブを使用している。見学していた皆さんは毎週生番組を制作しているバイタリティーに驚きよい刺激になったようだ。その後、駿河湾と富士山を望むメインの圃場に移動し、豊受のスタッフと合同での豊受の畑で収穫した農作物を使って調理したメニューの昼食をとりながらの意見交換会に移った。その席でまず豊受の農民たちが代わり交代でどのような気持ちで自然農や食品加工に取り組んでいるかをプレゼンした。その後の青年農業士との質疑も盛り上がった。この模様は記録動画としてとようけTV(https://tv.toyouke.com/)に公開される予定だ。畑で調理したレシピは「豊受きっちん」(https://kitchen.toyouke.com/)で公開されている。 

視察参加者の感想

今回参加した方の感想が寄せられたのでそれを紹介する。 

戸塚さん(会長:主要栽培作物水稲)

この度は青年農業士中遠支部の視察研修のために、お時間を作っていただきありがとうございました。インスタライブを見学させていただき、宣伝することの大切さを感じました。また、眠っているニーズとマッチングするアイデアがとても良かったと思います。 お昼ご飯もご用意いただきありがとうございました。とてもこだわりを感じ、おいしくいただきました。
 静岡県東部と西部で距離は離れていますが、これを機に中遠支部青年農業士会員と今後もつながりを持っていただけたらと思います。次世代を担う農業者としてこれから頑張っていこうと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

Aさん(副会長:茶)

寅子さんがとてもパワフルで若い自分たちも負けられないなと思いました!パワーと活力をもらいました。働いている方たちの顔もイキイキしていてそれも良いところだなと感じました!自分が感じた良いところ ・今の日本ではほぼないであろう究極の自然農。 ・1~10、種取り~加工までを一貫して自分たちで行い消費者との距離感がとても近い農業をしていること。 ・人の体、健康、自然をとても大切に思いながら経営をしているところ。また経営がしっかりその形であっても成り立っているところ。 自分が思うこんなのがあったらいいな ・泊まりで一緒に農業体験をしたい。 ・働いている人との交流タイムが欲しかった。堆肥と微生物についてもう少しお話したかったです。 とてもためになる視察研修でした!ありがとうございました。 

Bさん(茶)

貴重な体験でした!由井さんの情熱、行動力、話術、どれもが圧倒的で衝撃を受けました。 有機栽培のイメージで伺ったところが良い意味で覆され、農業にはまだまだ知らない事、挑戦する余白、それに伴う周りからの反応等、幅も深さもある事を感じました。 まずは安全で安心な食物作りというところも改めて立ち返ることができたと思います。 場所柄、完全自然農というのは難しいかもしれませんが、土・水・生産物・地域にもっと耳を傾けて自分!と商品!に磨きを掛けていきたいです。 ありがとうございました。  

Cさん(茶)

先日はお忙しい中私たち若輩者のために、お時間を作っていただき誠にありがとうございました。 寅子さんの印象というか、豊受自然農の会社の雰囲気がとても気持ちの良いもので、全てに愛を感じました。 昔、松下幸之助さんが言われた言葉で、「人間を作っております。合わせて電機も作っております。」と言われたのを、まさに寅子さんはやられているなと感じました。 更に生きた知識、鋭い見識、ユーモアのセンス全てが完璧で、寅子さんの下で働いている人たちが羨ましかったです。 寅子さんの考え方にはまったく同感で、この世界は人間の目には見えないものが形作っていて、その中で農業とか食品においては、菌という微生物が非常に重要なファクターになる事は間違いありません。 今、世界ではオーガニック市場が賑わっていたり、SDGs だとかGAPだとか色々騒がしいですが、寅子さんが言われたように日本では400年前から265年間も持続可能な農業、生き方をしていた民族なのですよね。 今まさに昭和25年前後のベビーブーマー世代の経営者たちとの世代交代が始まりつつあります。バトンを引き継いだ我々青年が、正しい知識を身につけ地域のリーダーとして、偉大なる農家として、国の根幹を再構築していきたい、寅子さんの話しを聴いていて、そう強く思いました。 またどこかで、お会い出来る日を楽しみにしております。 

Dさん(キウイフルーツ)

この度は貴重なお時間を割いていただき誠にありがとうございます。 自然農法のイメージやビジネスモデルの考え方が変わったお時間になりました。 地域の土着菌から土づくり(御古菌を活用した菌づくり)まで行い深く追求しているところ、とても興味深く感じました。 地域のものを地域で0(土壌や種、水等)から作り上げ消費者に提供する究極の形は、本当の持続可能な農業であると思います。 私の農園も目指すところは類似していますので、目標の形として頑張っていきます。 誠にありがとうございました。 次回はお時間がありましたら、新設する加工場の見学や新規就農者を増やすことや、農業のビジネスの仕方について深く意見交換ができれば幸いです。 

Eさん(トマト)

まずは先日は視察させていただきありがとうございました。 施設の見学から、取り組みの説明、インスタライブの見学、昼食を兼ねての意見交換と長時間に渡り対応くださり、とても刺激になる体験となりました。 今回、視察させて頂き特にすごい感じたことは会社として地域の環境を守り、在来種を大切にした自然農で食の安全を守るというや食へのこだわりの信念を成立させるための仕組み作りです。 多くの従業員さんがいる中で、手間のかかる農業をビジネスとして成立させるために6次産業化やレストラン経営をすることで利益率を高めること。 オンラインストアでの販売や内容満点のインスタライブなどで自分たちの作っているものをアピールしていくこと。 地域の人たちを巻き込んでより大きな規模で生産していることなど、短時間の視察の間でも多くのことに真剣に取り組んでいることが伝わってきてとても刺激になりました。 私は、施設栽培でトマトを栽培しているので普段の農業とは真逆の自然農に触れることができ自分の中の考え方にも影響がありました。 もともと、農薬の使用量を減らしたいと考えており、天敵昆虫の利用や物理防除剤(油脂を主成分にしたもの)主体の防除に取り組んでいます。 将来的に、施肥した肥料の排液を再調整して利用するなどより環境を意識した農業に取り組んでいきたいと思っています。 今回はありがとうございました! 

Fさん(イチゴ)

自然栽培にこだわり経営を拡大していくモデル、大変勉強になりました。目指すべき理想の農園の形だと感じ、こういった農業がもっと広まればいいと思いました。慣行栽培の農園でも真似できる部分はあるので、自分なりの理想の農園を作っていきたいと思います。 また今回特に驚いた点は、先生の知識量です。すべきこと、ビジョンが明確にあるからこそ、その実現に向かって勉強し行動できるんだなと感じました。そして作物の品質や収穫量を追うこと以上にもっと勉強すべきことがあると気づきました。食と健康が隣り合っていることは知ってはいましたが、それに比べて農業と健康は少し遠い位置にあるように感じていました。これから少しずつ近づけていけたらなと思います。 

▽Gさん(トマト)

先日はありがとうございました。 食への考え、芯の強さに衝撃を覚えました。すごい事をやっていると思います。また、ミニトマトの自然栽培、種取り、独自品種の話も聞きたいので、ぜひリーダーの方と直接個人的に話したいです。 

Hさん(レタス)

先日の視察の受け入れありがとうございました! 何年か前から、日本豊受自然農さんのことは知っていて、今回の視察は楽しみにしていました。 森町で種採りして、自然農をやっている人はいないので、自分が少しでも自然農の勉強をし、地元の人達に安心、安全な農作物を提供できるように頑張って行きたいと思います!最後に自分もみなさんの表情がとても元気で、自分も元気をもらいました! ありがとうございました! 

丸山さん(静岡県中遠農林事務所生産振興課)

由井代表のお話はとても興味深く、大変参考になりました。約20haもの農地で自然農法を実現されていることは、並々ならない努力の賜と感じました。 また、揺るぎない信念を持って農業に取組まれている姿、話を聞き、同じ信念を持った方が集まり、夢を実現していくのだなと思いました。

本記事の環境農業新聞は環境農業新聞社の許可を得て転載しています。

\ 最新情報は各SNSでも配信中!フォローお待ちしています /

目次