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「おコメが食べられなくなる!!」 月刊「日本」2017年5月号より転載紹介

おコメ

「おコメが食べられなくなる!!」
「モンサントの遺伝子組み換えコメしか食べられない」。「古来から守り育ててきた伝統的な稲作もできない」。
そんな状況に、早晩日本人は陥るだろう。四月十四日に主要農作物種子法を廃止する法案が成立したからである。
我々日本人は、イネの原種、原原種、優良品種を営々と守りぬいてきた。各都道府県が予算を与えられ、責任を持って種子の開発、保存に務めてきたからである。それを裏付けていた法律が種子法にほかならない。アメリカにおいても、イネの種子は州立の農業試験場や州立大学が中心になって開発している。
本来種子は、人類の「公共財」として保護されなければならない。種子は一部の企業の私有財ではない。ところが、モンサントなどの種子企業は、種子を世界の農民から奪い、独占しようとしている。やがて我々の食料、つまり我々の生命は、一部のグローバル企業に握られるということである。四月十三日の参議院農林水産委員会に参考として呼ばれた西川芳昭・龍谷大学教授が紹介した言葉「種子が消えれば、食べ物も消える。そして君も」が示す通りだ。
政府は種子法廃止の理由として、同法が民間の種子開発を阻害しているからだと説明した。しかし、二〇〇七年の時点で農水省は、「疎外要因とはなっていない」と明確に主張していたはずだ。それから一〇年間。いったい何が起こったのか。
二〇一二年末に成立した第二次安倍政権は選挙公約を裏切る形でTPP推進に突き進んでいった。もともと、TPPは世界の富を独占しようとするグローバル企業の意向で進められてきた。すでにTPP協定には、種子は種子企業の知的所有権物であり、それを勝手に農民が許可なくして保存してはならないことが盛り込まれていたのである。TPPの正体がグローバル企業の利益のために、食の安全、食料安全保障、食料主権を放棄するものであることが、ここに明確に示されている。
TPP批准を強行しようとした安倍政権は、種子法廃止を急いだ。二〇一六年一〇月六日に突如、規制改革推進会議農業WG(ワーキング・グループ)会議で、「地方公共団体中心のシステムで、民間の品種開発意欲を阻害している主要農産物種子法は廃止する」と問題提起されたのだ。TPP批准に向けた国内法整備を強行する官邸の意向に、農水省は従うしかなかった。この背景には、二〇一四年に設置された内閣人事局によって、官僚が官邸に逆らえなくなったことがる。
トランプ政権の誕生によってTPPは頓挫した。にもかかわらず、安倍政権はグローバル企業に奉仕するための政策を推進し続けているということである。

着々と準備を進めている種子産業
いま種子産業や種子ビジネスに力を入れはじめた化学企業などは、着々とイネの開発を進めている。種子法は、すでに1986年に改正され、イネの種子の品種開発が民間企業にも開放されたのである。そして、種子法廃止の議論が展開されていた3月14日には、日本モンサントの「ほうじょうのめぐみ」が、また同月15日には住友化学の「コシヒカリつくばSDHD」が新たに品種登録された。
すでに日本モンサントは、2005年に「たべごこち」と「とねのめぐみ」を登録している。また住友化学は、08年に「コシヒカリつくばSD1号」、10年に「コシヒカリつくばHD1号」、12年に「つくばSD2号」を登録している。
これらの種子は、購入しても1回のコメの収穫にしか使用できない。種苗法(第21条第2項)では、収穫物をさらに種苗として使用することを認めている。しかし、「ただし、契約で別段の定めをした場合は、この限りではない」との規定があり、個別の契約で禁じられれば、勝手に種子を使用することはできない。例えば、日本モンサントの「とねのめぐみ」の場合、契約書には「本件種子を1回の米の収穫のためにのみ使用し、育種目的、採種目的、研究目的を含むその他のいかなる目的にも使用しない」とうたわれている。
また三井化学アグロが開発した「みつひかり」のようなハイブリット・ライスの場合には、毎年種子を買わなければならない。ハイブリット・ライスとは、ジャポニカ種とインディカ種のように遠縁の品種を交配して開発された品種で、収穫後には自家採種して撒くと、形や性質が不揃いになってしまうからだ。

日本人は種子を守るために闘え!
住友化学は、すでに2010年に雑草防除分野でモンサントと提携、同社の強力な販路を通じて南米などで除草剤販売を拡大してきた。まさに、住友化学は世界の農民から種子を奪うモンサントに手を貸しているのである。同社社長・会長を務めた米倉弘昌氏が日本経団連会長としてTPP推進の先頭に立ったのは決して偶然ではない。モンサントなどのグローバル企業は、農業をビジネス化し、伝統的な農業のあり方を破壊しようとしている。その結果、我々は稲作と密接に関わる伝統文化も失うことになるだろう。
ただし、種子をめぐる問題は決して「日本」対「外資」の構図で見ることはできない。日本の国内企業が外資と手を組んで、世界の国々の農民から種子を奪おうとしているのである。種子を農民から奪う種子企業との闘いは、日本のみならず世界の問題である。国際社会では、伝統的農業を守ろうとする発展途上国とグローバル企業の意向を代弁する先進国の間で、熾烈な綱引きが続けられてきた。
発展途上国は、1980年からは「ベーシック・ヒューマンニーズ」を掲げ、種子を含め、食料と医療に関わる特許はなくすべきと主張してきた。これに対して、グローバル企業、先進国は、種子が企業の特許であることを国際条約に書きこもうとしてきた。1991年には「UPOV(植物の新品種の保護に関する国際条約)」が改正され、全植物の遺伝子が企業の特許になるように改正された。これに対して、2004年に発効した「食料農業植物遺伝資源国際条約」は農民が種子の保存、利用、交換、販売する権利を認めた。30年以上にわたって、種子の特許をめぐる激しい綱引きが行われてきたのである。
この間、中南米諸国では、農民が種子を保存することを犯罪とする法律を制定しようとした各国政府に対して、農民が徹底的に抵抗し、法案をことごとく潰してきた。我々は、中南米の農民を見習って、今こそ声を上げ、グローバル企業の目論見を粉砕しなければならない。日本の農民の種子が奪われれば、アジア諸国の農民の種子が奪われる流れに拍車がかかるだろう。
ところが、マスコミは種子法廃止の動きに完全に沈黙している。種子法廃止を批判的に取り上げたマスコミは皆無だった。種子法が廃止されても、国による種子の開発体制を確実に維持する道を探り続けなければならない。同時に、グローバル企業の代弁者たちが推進する農業改革の流れに歯止めをかけなければならない。
今こそ、我々は日本の農業、その根幹であるコメ作りを守るための闘いを起さなければならない。
(月刊「日本」2017年5月号より引用終わり)

同じく月刊「日本」2017年5月号掲載の日本の種子を守る有志の会 印鑰 智哉さんの記事「モンサントが農民から種を奪う」 は以下リンクからお読みください。

http://toyouke.com/blog/12934.html
※興味ある方は、ぜひ購入して特集記事全体をお読みください。

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▼今回の「主要農作物種子法」廃止法案の成立に思う。 日本豊受自然農代表 由井寅子
http://toyouke.com/blog/12901.html

▼当日上映映画とスケジュール決定! 5月20日 MAM(マーチ・アゲインスト・モンサント)DAY 全国5都市で上映会開催!
http://toyouke.com/blog/12755.html

▼March Against Monsanto(MAM)公式ホームページ
http://www.march-against-monsanto.com/