日本豊受自然農代表として、日本を救うこの映画の完成を心より応援します。
今の日本では、この映画で取り上げられているような国民の生命と健康、そして財産を守るための大事な情報や解決策はマスメディアなどではほとんど報道されることがなく国民には隠ぺいされています。
例えば種子の問題だけみても、状況は差し迫っています。日本豊受自然農は静岡県や北海道で、300種類以上の在来種の農作物を、自家採種中心に行なっている農業法人です。
今回検討されている種苗法「改定」案では、農家が先祖代々行なってきた自家採種・自家増殖が登録品種から一律禁止、権利を持っている種苗企業から毎回買わなければならなくなります。そして違反した場合は、個人農家は1千万円以下の罰金、10年以下の懲役、そして共謀罪にも問われます。私どものような農業生産法人の場合は、違反した場合は3億円の罰金、さらに在来種など登録品種でなくても、遺伝子の検査でなく植物の特性表(目視)での判断を前提に自家採種禁止に違反したということで農家が簡単に訴えられるようなリスクもあります。
また、海外ではハチが遺伝子組み換えの作物の花粉を運び受粉されることで遺伝子が汚染されてしまい、農家のせいでないのに、自家採種で作物を栽培し知的財産権を侵害したとイチャモンをつけられました。
そして農家が特許侵害だとグローバル種子企業に訴えられ、何件もの農家が負けて破産に追い込まれる悲劇が現実に起こりました。
膨大な環境との相互作用の果てに、地球という大きな命の循環の中で役割を担った姿が、一つ一つの植物、動物、昆虫、微生物です。その土台があって、人類との膨大な関わりの中で食料としての作物があります。その種は、人類が守り続けてきた人類共通の財産です。その部分を無視してグローバル種子企業が勝手にF1種や遺伝子組み換えなどの操作を加え、特許、知的財産権を主張することは、地球に旗を立てて、この星は自分のものと言っているのと同じで道を外れています。まして国際条約を結び、国が、生命である種子に、特許、知的財産権を認めることなど、本来ありえない判断です。
一つ一つの植物、動物、昆虫、微生物の生命の物質的現れが遺伝子DNAであると考えています。その生命そのものである遺伝子を、遺伝子組み換え、ゲノム編集などで、人間が勝手に切ったり貼ったりすることは、命の尊厳を無視した自然に対する冒涜であり、その一つの役割を担った生命に対する冒涜なのです。このような人間の傲慢さから生命をいじくり回された作物は、植物がもともともっている人間の精神性を高いレベルで維持するための力が弱くなってしまうばかりか、食料として食べることで人間の精神性を低下させる原因になりかねません.
人間の精神性が低下している背景には、このような不自然な種をはじめとする食の問題が大きいと感じています。
種子を農薬・化学肥料を扱うグローバル種子企業に握られれば、農家は彼らに隷属し、在来種の種の多様性や生命溢れる土壌は失われ、人々は不自然な種子から栽培された農薬にまみれの栄養・ミネラルが欠乏した作物を食べるしかなくなり、病気になるのは必至です。ぜひ自分事として一緒に取り組んでいきましょう。
海外でのグローバル種子企業の横暴と各国の農民や市民との争いを見るだけでも、大事な種子を外資の種子企業に握られることが食糧安全保障上、どれだけリスクの高いかは明らかです。代々続けてきた種子や自家増殖しただけで、違反したとみなされた場合は3億円の罰金と10年以下の懲役。どうして自家採種、タネとりをする農業を続けることができましょうか。あまりにも日本の農家をバカにしたひどい仕打ちではないでしょうか。このような日本の農家や農業を潰しかねないような法律がこっそりと国会で通そうとしています。とんでもない話です。
2年前には都道府県が食糧安全保障のために米、麦、大豆などの主要穀類の種子を安定供給するための後ろ盾となってきた主要農作物種子法がこちらもこっそり廃止されました。さらにそれに先立って、日本の農業試験場などが苦労してきて開発してきた公共の種子の権利や知見を、外資含む民間企業に払い下げることを規定する農業競争力強化支援法まで通されました。
もし、グローバル種子企業に私たち農家の方々が作っている作物(穀物や野菜)の自然な種子の権利をとられた場合、彼らがわざわざ手間をかけてそのような自然な種をとり、販売をしてくれるかはなはだ疑問です。そもそも一企業が一つの種を独占するということは、種を守るという観点にたてばとてもリスクが高いことです。もし権利だけとられて、自然な作物の種が販売されなかった場合、その作物はあっという間に絶滅してしまい、もう二度と手に入らなくなってしまいます。
日本の農家はこんな不条理なことを受け入れなくてはならなくなりました。それにより、山田正彦元農相、原村政樹監督が立ち上がり、この映画ができました。
この映画は、日本の農業と食、そして国民の健康と生命への大きな脅威、その背景を俯瞰的に浮き彫りにしてくれる名作であります。しかも多くの告発もののように恐怖を与えて終わるようなことはなく、食糧主権を国民が取り戻すために、健康を取り戻すために、具体的な解決の道筋と希望を示し、与えてくれているという意味で希望の映画なのです。全国民に見てほしい。そうすれば多くの方々の気づきから、自ずと問題解決の道も見えてくるでしょう。まず知ること、伝えることが決定的に大事なのです。
日本の未来のためにも、これからの日本を担っていく子どもたちのためにも、完成を心待ちにしています。ぜひ映画完成のためのクラウドファンディングも応援してください。
また、同じ山田正彦先生プロデュースで原村政樹監督のペアで制作され9月に公開される『タネは誰のもの?』では、日本豊受自然農も取材をうけました。
まず種苗法「改定」とはどのようなものかを知っていただくためにもぜひこちらの映画も見ていただきたいと思います。
種苗法「改定」は、農家だけの問題でなく、食の安全にかかわってきます。結局ツケは国民に、そして子供たちにいくことになります。秋の国会で再提出予定の種苗法「改定」案は、みなで力をあわせて廃案に持ち込まなければなりません。
そのために署名、こちらの映画の上映活動や勉強会開催などにもぜひご協力をお願いいたします。(引用ここまで)
9月21シンポジウムでは、山田元農相がこの映画の魅力にいて、また、この秋公開されます『タネは誰のもの』は完成版がシンポジウム当日18時半から上映されます。