#種苗法改正案を廃案に シェア・拡散歓迎!
昨日11月23日勤労感謝の日は、かつては、宮中、日本の神社、また農家が秋の収穫の恵みを大自然、神様に感謝し新米を奉納する新嘗祭の日でした。ちょうど秋の収穫の恵みや日ごろの御礼も兼ね、神社や寺社を何人かで巡りました中で、種苗法について、また日本のコメづくりの未来について様々なことを感じました。また、今回の種苗法改正について、衆議院農水委員会での質疑など審議が進むにつれ様々な事実が明らかになってきました。そしてその中から、今回の種苗法改正案の延長線上には、日本のコメづくり農業とコメ農家潰しまで意図しているのではと気づかされる種苗法改定案の背景にあるマスタープランが徐々に浮かび上がってきました。やはりこの法案がそのまま成立することは、将来に大きな問題を起こすため見過ごすことができないと思い、またこのマスタープランを俯瞰的に分析して、農家、そして国民1人1人が対策を考えていかなければならない時代にあると感じ、農業法人1スタッフとして今回の種苗法改定案について感じることをまとめて記事としてアップしています。拙文、長文お許しください。
多くの方に種苗法改定の問題を知っていただき、これを機に、タネの問題、土の問題、農薬や化学肥料の問題、自家採種の農民の権利、ゲノム編集種子など食の安全の問題、食糧危機に備えて食糧安全保障の問題などを考えるきっかけにしていただき、少しでも今後よい方向に向かいますようご協力をお願いしたいと思います。
農林省による虚偽説明
そもそも国会質疑の中で、今回の法改正案は、法案成立をめざし農林水産省が各都道府県に説明してきた内容の中に様々な虚偽があったことが次々判明してきています。
実現した印鑰智哉さんの参考人「神」質疑
2年前の種子法廃止の審議時と異なり、食の問題の研究家 印鑰 智哉さんの衆議院での参考人質疑が行われました。衆議院の農林委員会の傍聴席は埋まり、内容的にも農業と食の安全の問題では歴史的な質疑になったのではないでしょうか。そのリアルな内容をご覧ください。
国会質疑での発表内容の本人ブログでのまとめ
JAcom(農業協同組合新聞)サイト掲載 国会審議で見えた種苗法改定の真の狙い~論点の再整理【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】
国民への法案説明に虚偽情報 農林相の訂正・謝罪会見と廃案・差し戻しが当然
農林省が虚偽情報をベースに国民への法案の説得を都道府県、関係団体、議員や農家に行ってきた経緯が判明した以上、まずこれらの虚偽が判明した段階で、法案はいったん廃案にし、取り下げられるべきものです。農林省として政府、農林水産大臣が訂正のための謝罪会見を行うことがまず真っ先にやるべきことであります。もし国民を誤魔化す説明をしてでも法案成立を政府や与党国会議員が目指そうとするのであれば、既に国民のための政府でも有権者の代表としての国会議員ではございません。さらに審議も強行採決など「もっての他」と考えます。
種苗法改正でのターゲットは日本のおコメとコメづくり農家
11月17日の衆議院農水委員会の質疑で農林省は極めて重要な答弁を行っています。
今回の法改正で登録品種(8000種以上)を一律例外なしに律自家採種禁止という法案を通そうとしています。「なぜ現行法で現在300種類ぐらい定めている自家増殖を規制する品目を拡大する形で運用しなかった」という亀井議員の問いに対して、農林省は「現行法ではコメの自家採種を規制することができないから」と答えています。つまりコメの自家採種を規制することも今回の種苗法改正の目的であったことを認めたわけです。
参考人として国会で証言した印鑰 智哉さんの国会中継速報facebookのコメント欄にこの解説があります。
「亀井議員:なぜ例外品目を規定しないのか?」「品目を指定するとすべてを認めることになってしまう」と農水大臣は返答した。「亀井議員:個別に指定できなくなる。だから品目で例外を作らない。であるのなら、原則自由にして、してはいけないものを指定すればいいではないか? 農水省省令での禁止指定が増えている。なぜすべて逆にするのか?」「農水省:現行法では栄養繁殖だけに限っている(というけどねぇ、略)。お米は不可能(印鑰注記 やっぱりお米の自家増殖を止めることがこの種苗法改正の目的なんだ!)」
印鑰 智哉facebook
日本の農業にとっての伝統的なコメ作りは根幹であり、食文化においても在来種の地域の多様なコメの栽培があって地域の食文化が豊かになっています。加えて気候変動などから食糧危機が懸念される中、主食である安全で栄養あるコメの自給こそ食糧安全保障の根幹でもあります。更に今回の法改正とあわせて日本の農家のコメ作りを今回の種苗法改正がターゲットとしているのではないかと疑われる背景情報がいくつもでてきました。
ちなみに、農林省担当者は別の機会に「日本の農家の自家採種が、外資など民間のコメの普及の障害になっている」ことにも言及していたという。
続けてもう少し詳しく紹介します。
農林水産省は、「今回の種苗法改正を地方や関係機関に説得する中でコメの登録品種の栽培面積は16%ぐらいだからたいした影響はない」と報告してきました。しかし、これに対し、16%まで道内のユメピリカなど地域でコメの9割以上のコメの栽培が登録品種、さらに大豆な小麦など道内の主力栽培品種が登録品種とわかっている北海道の農家などは、ことの重大さに気づき始めているようです。北海等は専業農家も多いのでより死活問題だからでもあると思いますが、なんと北海道の179の市町村のうち75の議会が、今回の種苗法改定案に反対、もしくは慎重審議の意見書を国会に対して意見書を出しています。このように多くの議会が国会の法案審議に短期間に意見書を出すことが通常あるでしょうか。北海道に限定しないと既に100を超える議会が意見書を出しています。しかし、衆議院農水委員会での参考人質疑に立った印鑰 智哉氏は、農林省が説明してきた「コメの登録品種の栽培面積は16%ぐらいだからたいした影響はない」という説明自体が事実でない虚偽の報告であることを明らかにしました。
法改正の対象となる登録品種は1割程度しかない(米の場合は16%程度)なので法改正の影響は少ないとしてきた農水省の虚偽
参考リンク
【種苗法改正 第3弾】「また大ウソ発覚!!農家に冷淡な政権!! ~改正後、日本の農業は?~」
法改正の対象となる登録品種は1割程度しかない(米の場合は16%程度)なので法改正の影響は少ないとしてきた農水省の虚偽(印鑰 智哉のブログより)
実際は農林省が公開しているデータをもとに計算しなおすと北海道、青森以外でも、コシヒカリBLなどをはじめ、日本で栽培されているコメのなんと4割以上が登録品種であることが明らかにされたのです。たとえば、新潟県民には一般品種として説明されていたコシヒカリも、調べて見折ると実際に農家に供給されている種子種苗は品種改良されたコシヒカリBLという登録品種が99%を占めると印鑰さんは指摘します。さらに新潟の「コシヒカリ」「コシヒカリBL」に限らず、一般品種と考えられていた「ミネアサヒ」の多くが登録品種の「ミネアサヒSBL」、同じく一般品種「あいのちかおり」の多くが登録品種「あいちのかおりSBL」、だったり、一般品種と「ハツシモ」も多くが「ハツシモ岐阜SL」と、愛知、静岡、岐阜、富山などで栽培されて一般品種のように考えられた地域の主力品種で多くが実は登録品種だったことを上記の印鑰さんのfacebook記事にて明らかにしています。
このことが大変なのは、古来より多くの農家が飢饉等に備え、公的な種子ももちろん購入してきましたが、自家採種の種籾を確保しているものと思われます。
しかし、今年の収穫は終わっています。来年の田植えで種籾を購入して苗をつくる部分と、自家採種した種籾で苗をつくる場合があります。もちろんこれら代々種籾も自家採種して翌年栽培している農家は結構あると思います。これらの農家で今回の種苗法改正案が目的とする悪意をもって種苗を海外に持ち出す意思を持って自家採種する農家などあるはずはないと思いますが、これら善良な農家が一般品種と勘違いして来年4月以降に登録品種の種籾で栽培した場合にも、許諾なしの登録品種の栽培として10年以下の懲役を受けなければならないのでしょうか。もしそうであればあまりにも現場への配慮がない法律運用でなぜこのように拙速に法案を通そうとしているのか。そして、なぜ日本の主食であり、最も重要な日本の農作物でもあるコメについて、農林省は、種苗法の農家への影響を軽くみせるために、このような虚偽のデータで説明してまで、この法案を通そうとしているのでしょうか。農林省の説明だけだと大変不思議です。
もともと農林水産省が説明していた法改正の大義名分が種苗の海外流出を抑制させるためとしていましたが国会質疑でも明らかになりましたことは、海外まで効力のない国内法である種苗法を改定しもほとんど意味がないことが明らかです。現行法の範囲でも農家は取り締まれます。もともと海外での品種登録しか有効な対抗策がないこと自体農林省自身も認めています。一方でこれまで農研機構などがシャインマスカットなどの海外出願を怠ってきたため海外で栽培される事態を招いているという農林省側の怠慢の事実は隠蔽し、まるで農家が自家採種することが種苗の海外流出の原因であったかのような宣伝、論調まで見られます。このように国内農家がまるで流出への最大悪者のように規定し、その対策として農家の自家採種・自家増殖を例外なく一律禁止するということ自体、農家には様々なデメリットが大きくのしかかってきますのでバランスを欠いています。
加えて、国会答弁の中で今回の法改正の最大の目的は、世界各国でも自家採種の禁止などとセットで行われ、多国籍企業の農家、市民の間でいくつもの大きな争いに発展しているいわゆる一連の「モンサント法」につながる法制改正であることも質疑の中で浮き彫りとなりました。この「モンサント法」に関わる問題点の背景を11月12日に衆院農水委員会で質疑を行った篠原孝議員が「日本の種子を守る会」の11月19日の院内集会で、また11月12日の衆院農水委の質疑で解説されています。大変わかりやすい話ですので、以下の会見もぜひご覧ください。
タネは誰のもの みんなのもの? それとも企業の所有物?
昨日は新嘗祭でした。日本の稲作の起源は、古事記ではニギギノミコトがアマテラスオオミカミサマから稲穂を預かり、日本にコメがもたらされたと書かれています。実際、日本のお米は小名木善行先生にも教えて頂きましたが弥生時代以前から先祖代々お百姓さんがタネを育て守り伝え、今に伝えてきている品種でもあります。
明治維新以降は官民一体で、公共と農家が連携しながら毎年品種改良を続けてきた恩恵を私たちは授かっているものです。様々な日本各地の気候風土に合った多様なコメの品種が開発され、地域で公共と農家が協力して、これらコメの品種を育て守ってきたのです。このような経緯もある日本のおコメの品種でありますので、タネは1千年以上、この日本米の品種に関わったご先祖様も含めたお百姓さん、そして公共の共有の財産です。また種子自体、自然からの贈物であり、また命と食の源であります。後ほどその一部を改良した開発者のみに独占的権利が与えられるべきものはなく、農家はもとより日本国民、いや世界の皆さんの共有のみんなの財産であります。また農家の自家採種・自家増殖の権利は、国際条約でも農家に保障されている普遍的な権利です。11月26日(木)の参考人質疑では、国連の「家族農業の10 年」農家の自家採種・自家増殖の権利は、国際条約でも農家に保障されている普遍的な権利を守る活動されている村上真平氏(家族農林漁業プラットフォーム・ジャパン代表)が参考人質疑に立たれます。三重県で愛農会代表としても自然型のオーガニックな農業や安全な食品に長年取り組まれてきた方です。是非国会のインターネット中継にもご注目ください。11月26日(木)は日本豊受自然農スタッフも国会前の座り込みに参加します。
今回映画「タネは誰のもの」で日本豊受自然農の函南農場も取材を受け、代表の由井寅子が映画の中でも取材を受けており、11月18日(水)にUPLINK渋谷でこの映画の上映挨拶をしており、その中でもタネについて、今回の種苗法の問題についてもコメントしています。またこれは日本だけの問題ではありません。この中でモンサントが綿のタネの権利を独占したため30万人近くの農家が自殺に追い込まれたインドや、日本が遺伝子組み換え作物の世界最大の輸入国であり、日本人が遺伝子組み換えの作物の問題に無関心でい続けているために、それを供給する海外の農家や農地の近くの住民の方がどれだけセットで使われる農薬などによって、土が破壊され、どれだけの住民が病人になっているかの映像も合わせてご覧ください。
種子法廃止と農業競争力強化支援法での日本の公共の種子の民間への譲渡命令
今回の種苗法改定ではこれまで当たり前に農家が行ってきた農作物の自家採種・自家増殖の権利に対し、世界に比類なきレベルで一方的に制限が加わられるものです。この意味で大変大きな問題だと考えます。加えて、昨年主要農産物種子法が廃止され、コメ、麦、大豆などの主要穀類の種子を公共(国、地方公共団体)が安定供給する保障の後楯になってきた法律が廃止されました。コメ、麦、大豆という1農家では、種苗の安定供給が長期的には難しい主要穀類の種子の安定供給を地方公共団体(農林試験場など公共)が支えてきた、特に予算などの法的な後ろ盾となる国の法律の廃止です。地方自治体はさすがに慌てて廃止に対抗し32の道県が種子条例などを制定し地域のコメなどの安定供給を道県の限られた予算から捻出し支えています。しかし種子法廃止によって日本の公共のコメなどの種子安定供給と開発の体制は大いに弱体化してしまいました。今後年を経るごとにこの影響が大きくなっていくものと思います。
さらに農業競争力強化支援法により、日本の公共が開発してきた種子種苗の知見を民間企業に提供することを定めた条文まで制定されています。既に譲渡される相手先の民間企業にはグローバル外資も含まれるという以前の国会での答弁もありました。
今回の種苗法改定案こそ、日本の公共の種苗の海外流出を促進する
種苗法改定で日本の種子を守るという政府の説明は真逆の、日本の農家と公共が開発し守り育ててきたタネの権利を、外資含む民間に流出させるという側面もあり、大変危険な法改定でもあります。
一連の法律や最近の政府の政策をみると、これらのターゲットの中心は、今でも日本が唯一100%国内自給し、日本の農業の中心でもあるコメがターゲットにされていることが浮き彫りになってきます。
この延長で、もし日本のコメの種子の権利がグローバル種苗企業に握られた場合…
大変憂慮すべきことがあります。1つは日本のコメのハイブリッドや雄性不稔など不自然なF1種、遺伝子組換え種子、ゲノム編集種子などがグローバル種苗メジャーとその関連企業により準備されているということです。
もし公共の種苗の権利がグローバル種苗メジャーに握られた場合、その品種の自家採種を一切認めない栽培させない権利も育種権者が持つことになります。民間業者の意向によりその品種が一切栽培できなくなるというリスクもあります。
綿花の種子を支配されインドでは30万人といわれる農家の方が自殺
アルゼンチンの事例 遺伝子組み換え大豆の農薬空中散布を止めた母親たち※印鑰さんのブログから
政府は全国で地域に合った多様な品種の集約にも言及していると聞きます
実際、政府は多品種あるコメの在来種は集約することが必要であるとし品種の集約が農業競争力強化支援法などでも言及されています。
公共から民間に種苗の権利が移管されるとタネ代は10倍にまたセットで農薬、化学肥料を買わされます
結果的に彼らグローバルな種苗メジャーの儲けが多い、種苗、たとえば公共からF1種に変わると在来種より10倍ぐらいに種苗の単価がアップとなるといいます。更にこれの種子での農産物栽培では彼ら企業の指定する農薬、化学肥料を使用しなければなりません。このような構造を見ると、彼らが儲かり、農家が多くを支払い疲弊する。農家が種苗メジャーに従属させられ収益を搾り取られる方向に向かいます。
そのため世界各地で種苗企業と農家の間で多くの問題が起っています
過去の印鑰 智哉のブログを参照するとこれらの事例は多くみることができます。また映画「SEED」「種子 - みんなのもの? それとも企業の所有物?」 「遺伝子組み換えルーレット」 「モンサントの不自然な食べ物」 「食の安全を守る人々(仮題 近日公開予定)」などの映画もご参考ください。
コメなどゲノム編集種子普及には自家採種禁止の今回の法整備が必要
さらに日本政府が昨年、どのような根拠なのかわかりませんが、ゲノム編集された種子による栽培やこれらが加工された食品の国内流通も安全と判断し認めてしまいました。ここまで急ぐというのはゲノム編集種子の日本売り込みが始まることに合わせてここまで急いでいるのかもしれません。一方でゲノム編集技術に対して世界の多くの科学者が取り返しのつかない健康被害、環境汚染を起こす技術として警告しています。EU、NZなどはゲノム編集生物の流通栽培を禁止しています。
ゲノム編集は何をもたらすか 11/4 印鑰 智哉 (世界の食問題研究家)講演
ゲノム編集種子は、F1種、遺伝子組み換え種子と異なり、自家採種、自家増殖が可能です。そのため種苗業界(特にバイオメジャー)からの圧力で今回の種苗法改正でのゲノム編集趣旨の知的財産権の保護のため今回の法案成立制定が急がれているというのは考えすぎでしょうか。
既に農研機構の隔離された屋外実験農場では、多収量米でゲノム編集のおコメの実験栽培がスタート
日本でゲノム編集のおコメが栽培されるようになりますと、広範囲で花粉により在来種との交雑が起こりますので、日本がゲノム編集汚染国と指定され、政府の掲げる農産物輸出振興などはおろか日本の農産物のEUなどへの輸出もできなくなるリスクもあり、世界が食に健康を求めオーガニックに向かう流れから日本は大きく取り残されることが危惧されます。すぐになんらかの法的規制を行わないと取り返しのつかないことになりかねません。
自家採種をしただけで重すぎる農家への重罰
民党の修正案でこの12月1日から来年4月1日からの改定法案の施行に実施は半年延期されましたが、農家はこれまでなんの規制もなく自家採種をしてきました。農林省の虚偽報告が問題なのは、農家は自分の栽培している品種が禁止される登録品種なのか一般品種なのかも知らないことです。今後、自家採種(タネとり)が禁止され、許諾なしに行った場合は、農家は10年以下の懲役、1千万円以下の罰金、農業法人の場合は3億円以下の罰金、しかも共謀罪の対象になります。これは食糧生産を担ってきた200万人の農家に対してあまりにもひどい仕打ちではないでしょうか。今年収穫したタネでも来春4月以降は許諾なしに植えると、違法とされ、刑務所に入らないとけない。農家にとっては今回の法改正はあまりにむごい重罰を科すものではありませんでしょうか。
農林省は自然型農業など在来種だから安心ですよと宣伝するが…
しかも在来種は一般品種だから安心してくださいとの説明がなされてきましたが、在来種の一部を品種改良することで、それを登録品種にし、在来種に対して特許侵害を申し立てた裁判を起こすことができることもわかりました。在来種を栽培している農家や自然栽培、オーガニック栽培を行っている農家も安心ができません。いずれ類似品種での登録がなされるコメのコシヒカリや大豆黒千石の事例なとのように、在来種だから安心というこれまでの説明にも嘘があります。
主食のコメを登録品種は一律自家採種禁止しては食糧危機時に国民の命を救えない
新型コロナでの世界の食糧供給サプライチェーン崩壊のリスクにさらされましたが、大きな気候変動などでの食糧危機も懸念される中、主食のコメの自家採種を禁止していくことは、食糧危機に見舞われ、その時たとえ種籾をもっていてもそれを農家が植えることが許諾なければ許されないとなると食糧危機の際に、農家が種籾をもっていても登録品種は植えられないという大変な制約になります。災害国日本としてコメの自家採種の権利まで放棄することは食糧安全保障大変大きなリスクを抱える危険な改正ではないでしょうか。
輸入米を入れる準備のため? 平行してコメの検査規格の大幅な見直しを政府が進めています
食政策センター・ビジョン21主宰の安田節子さんは、コメの輸入障壁をなくすためにコメの検査規格の大幅な見直しを政府が平行して進めていることを明らかにしています。
新型コロナの影響での米価低迷でも政府は輸入米を優先し国内コメ農家への救済策を実施しない
ただでさえ今、コメ作り農家は新型コロナの外食不況の影響を受け、米価も下がり今後コメづくりが続けていけるかどうかという農家も多い中、政府は乳製品では輸入を制限して国家としても買い上げ等の保証に動いているにも関わらず、主食のコメについては一切コメの輸入数量削減は行わず、コロナ禍を経験し、食糧危機、食糧安全保障の観点からは政府が余剰米の一部を購入して、価格を維持し農家を助けるという政策すらこの非常時に実施しようとしません。26日(木)に参院農水部会で質疑に立つ紙智子議員が先日の17日(火)の参院農水部会でこの問題を取り上げ質疑を行っていました。農民連さんの新聞「農民」の記事10月号では、政府の農政審食糧部会が10月16日に開催され、「新型コロナの需給への影響評価と政府の暴落対策が注目されましたが、出された結論は21年産米の「50万トン」の生産調整を強要するだけのものとなりました。」と掲載されています。このコメ生産者、農家いじめの背景にも、日本のコメづくり農家を潰そうとする圧力があるのではと勘繰ってしまいたくもなります。
種苗法改定でコメはどうなる? 食政策センター・ビジョン21主宰 安田節子(長周新聞)
例外なき一律の自家採種禁止は、国際条約でも保障されている農家の自家採種権利を一方的に著しく制限
今回の法案はコメを含む日本の種子種苗を守り在来種の多様性を維持していくためにも、コメづくりを含め日本の農業、農家を守るためにも、日本の食の安全と国民の健康を守るためにも、懸念される食糧危機に備えその時に国民の生命を守る食糧安全保障のためにも極めて大きな影響を及ぼす法案です。登録品種(8000種以上)を対象に、主要穀類も零細農家も例外なき一律の自家採種禁止は、国際条約でも保障されている農家の自家採種権利を一方的に著しく制限する大変バランスを欠いた不当なものです。
今回の法改正案では育種権者の訴訟手続きが大幅に緩和され農家が知的財産権違反で簡単に訴えられる
これまでのような比較栽培試験、DNA判定もなしに、農林水産大臣が特性表を見て目視で違反があったかどうか判断するだけで判決が下されるように今回の法改正では変更になります。しかし目視と特性表だけで簡単に品種が見分けられるようなものではないことも明らかになっています。結果としてグローバルな種苗企業から農家が簡単に訴えられ、訴訟で争われるようなケースが増えると予想されます。
種苗法改定で自家採種の原則禁止を一律禁止で提案したのは日弁連の知財部長!?
日弁連の知財の部会長が、当初、自家採種の原則禁止(例外あり)の種苗法改正案の政府案を、一律禁止に変更したことを自ら弁護士でもあり日弁連会員でもある日本の種子を守る会顧問の山田正彦元農相が11月19日に緊急開催された院内集会で明らかにしています。
これは不当な記者会見では? 「種苗法「すみやかに改正を」日弁連が求める」
また、「種苗法「すみやかに改正を」日弁連が求める」と大々的に報道されました。日弁連は司法の一角をつかさどる国家資格の弁護士が強制加入させられる団体でもあります。弁護士部会内でも、環境部会などのコンセンサスもとらずに弁護士会の見解が公表されたことを山田正彦氏の上記映像の発言によって明らかになっています。この見解に同意していない日弁連所属の弁護士の方からも何人も話を聞きました。あたかも弁護士会全体の総意であるかのようなこのような記者発表は悪意のある情報操作ではないかとも勘繰りたくなります。
なぜ日弁連の意見書だけを農林省は農水委員会の国会議員に配布したのか
なお、この日弁連の意見書はマスメディアに大々的に報道されただけでなく、この意見書が各政党、農林省などにも配られたそうです。参議院農水委員会で今週26日(木)に質疑に立たれる紙智子議員の事務所にも日弁連のこの意見書が封筒入りで農林水産省から届けられたそうです。なぜ多くの意見書がある中で、この日弁連の意見書だけが届けられたのでしょうか。紙議員が農林省に確認したところ、「見識ある方々の意見ですから」と特別扱いして届けたそうです。
本来政府は、賛成意見、反対意見もある法案に対して、司法の一角をつかさどる弁護士会が、一部の立場だけを代弁した公式コメントを記者会見し意見書を送り国会に圧力をかけるということ自体、日本弁護士会の組織内のガバナンスが適切に行われていないことの証左であります。政府関係者が日弁連のコメントを「見識がある」と関心していることなど論外です。逆に日弁連を監督指導することが政府の役割ではないでしょうか。国民から、国会、政府に対しては、多くの意見書が出されます。1つ1つの国民の声に真摯に向き合ってほしいと思います。
世界では多くの訴訟が農家に対して起こされている 種苗法で日本の農家にも同じような災厄?
一方で、グローバルな種苗メジャー企業は、海外の農家に対し多くの訴訟を起こしています。知的財産権を扱う弁護士は農家に対する訴訟が増えれば、お金儲けはできるかもしれませんが、それは国民にプラスの選択なのでしょうか。ちょうど、日本消費者連盟からの消費者リポートの11月号を拝見していましたら、カナダの在来種のナタネ農家で、1998年にモンサントの遺伝子組み換えの種子の特許を、パーマーさんの畑のナタネに交雑があり、遺伝子が汚染されていたため、モンサントの種子の知的財産権を侵害したとして訴えられ10年間訴訟を行ったパーシー・シュマイザーさんが先日亡くなられていたという訃報がありました。実際世界各国で遺伝子組み換えのタネの知財の権利に違反しているということで多くの農家がモンサントなどグローバルな種苗メジャーに訴えられ、倒産や廃業に追い込まれました。このエピソードが今秋カナダで「Percy」というタイトルで映画化され英語で予告編は見られます。種苗法改定後には、日本でも起こり得る未来を暗示しているのかもしれません。こういった映画の日本語版も日本で公開されればよいと感じています。
参考 安田節子さんの2003年のブログ記事から モンサント社に脅される農民
7月始め、東京で講演したモンサント社と戦うカナダの農民パーシー・シュマイザー氏によると、北アメリカで、農民に対してモ社が起こした訴訟は550件にものぼるといいます。モ社は、組み換え種子の特許権を最大限に活用する戦略を展開しています。それは、遺伝子組み換え種子を一度買った農家には、自家採種や種子保存を禁じ、毎年確実に種子を買わせる契約を結び、そうでない農家には突然特許権侵害の脅しの手紙を送りつけるというものです。
安田節子さんの2003年のブログ記事
ぜひ国会で起こっている問題点を知り、多くの方に関心を持ってもらい 声を上げ立ち上がってほしい
これだけ問題のある種苗法改正案ですが、メインメディアではこれまで殆ど報道されませんでした。衆議院農水委員会でも種子法廃止時の5時間の審議よりは長かったですが、たった7時間しか審議されませんでした。しかしたった7時間でした。殆どのマスメディアはその詳細や核心まで伝えることはありませんでしたが、今回実現した印鑰 智哉さんの参考人質疑や法案に反対する議員からの議員の内容はこの法案の問題点を明らかにするものでした。ぜひその国会での質疑の内容を多くの方に実際の記録映像で見てほしいと思います。以下は争点となった答弁の重要な部分を証言してくれていますので視聴の参考としてください。
与党の議員さんにも日本のタネ、コメづくり、食の安全を守るため反対の声を上げてほしい
与党は対立法案で論点が様々あるにも関わらず、衆院委員会の2日目の質疑ではなんと法案成立を急ぐためか質問する権利すらも放棄し委員会での採決を急ぎました。最大野党である立憲民主党が今臨時国会で唯一反対している法案であるにも関わらず、与党は法律施行の日程が会期中の12月1日から来年の4月1日に変更しただけで、衆院本会議では、465人も国会議員が選ばれているのに誰にも発言の機会すら与えられず、わずか2分で起立採決、多数決で採決されました。
日本には聖徳太子の十七条憲法以来、衆知を集めてもっともよい政策、解決策をさぐっていくという先人の素晴らしい意思決定の文化が継承されてきましたが、国会での審議は尽くされたのでしょうか。
今の政府、国会の動きを見ていると、背後に大きな利権などがあって政策が決められているのではなおかと思います。お上にまかせていては大丈夫ということでは農家や国民が食い物にされかねないと思います。今政府や政治がおかしな方向に向かっているというのであれば、私どもの代表も映画「タネは誰のもの」の上映会でも訴えましたが、農家、市民、国民が立ち上がって、声を上げて、立ち上がらないときではないのでしょうか。
各団体や皆さまの地道な活動のお蔭でやっと毎日新聞や北海道新聞、中日新聞、京都新聞、神戸新聞、TBSラジオなどマスメディアも種苗法改正案の問題点を報道してくれるようになりました。引き続き情報発信も宜しくお願いいたします。
これまで、生命の源であるタネのこと、農作物を育ててくれる土や土壌菌、虫たちのこと、私たちの体をつくる食べ物のことなど、自然の恵みに対して、あまりにも当たり前できたので、日本人は、あまりにも無関心、感謝を忘れてきたから、このような事態に今、陥っているのもかせん。もし仮に法案が成立するようなことがあっても、私たちの共有財産であるタネの権利が守られるように人事を尽くしていきます。
農家が今後農業を存続できるかどうか、日本の農家の運命を決めることになるかもしれないとんでもない法改正案です。今からでも強行採決の流れが修正されることを切に望みます。心ある皆さま、情報告知や政府議員へのお願いの活動など、ぜひご協力をお願いいたします。様々な知恵を使いながらこの難局を乗り越えていかなければならないのではないかと思います。
映画「タネは誰のもの」上映会 舞台挨拶(由井寅子)
参考リンク
少なくとも主食である穀物は今回の種苗法の改正の対象にしてはなりません。
印鑰智哉さんfacebook
そして地方自治体、国はその安定的な生産に責任を持つ必要があります。
- 11/12質疑にたった みやがわ伸議員のブログ記事 (「BLOGOS」終了のため記事削除)
- オリーブの木 黒川代表 種苗法改正に反対!ここでも竹中平蔵氏が暗躍!外資の支配を許すな【種子法,遺伝子組み換え,ゲノム編集,自家増殖,農業競争力支援法】https://www.youtube.com/watch?v=aZOZ0DJoFVA&feature=emb_title(動画は削除されました)
今後の予定
11月26日(木) | 参院農水委 審議(午前:政府質疑、午後:参考人質疑) 参考人:野党推薦 村上真平氏(家族農林漁業プラットフォーム・ジャパン代表) ※村上氏は自家採種など小規模家族農業などの権利を尊重する「国連家族農業10年の活動」の日本の事務局団体の代表で、全国で自然型農業、有機農業の運動を推進してきた愛農会の代表でもあります。愛農会の関係者からも日本豊受自然農あてにも種苗法関連の署名活動を積極推進されている旨も連絡いただいております。 与党推薦 金澤美浩氏(有限会社矢祭園芸代表取締役) |
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12月第1週 | 農水委員会での採決→本会議 |
11月26日 | <国会前座り込み>日本の種子を守る会が参集を呼びかけています。 10:00~12:30 アクション&座り込み 12:30~13:30 昼休憩 13:30~ 委員会散会 アクション&座り込み 16:15~16:45 傍聴報告 |
最後に今回は種苗法改定案の署名をたくさん寄せていただき、ありがとうございます。今日も200筆近い署名が届き、今日までに届いた改定案の廃案を求める国会請願署名(農民連さん、食健連さんがとりまとめ) 累計1万1961筆になり本日到着分まで日本豊受自然農経由で今回の臨時国会の窓口に届くように致します。ご協力いただきました皆様ありがとうございました。皆さまの声が今後日本の国政運営の届いていきますようスタッフ一同祈っております。