農家の自家採種(タネとり)の権利を奪う種苗法改定には断固反対します。
日本豊受自然農(代表 由井寅子)は、TPP種子法廃止違憲訴訟の原告に加わりました。
以下はTPP交渉差止・違憲訴訟の会 よびかけ人メッセージ 投稿文章です。
農業法人 日本豊受自然農 代表 由井寅子
農業生産法人日本豊受自然農では、安心安全で栄養価の高い食の復興を目指して、静岡県函南町と伊豆の国市にて150反、洞爺にて30反の規模の自然農を行い、300種以上の穀類、野菜、果実などを、最も大事な種子はF1種を使わずに在来種で、自家採種・自己増殖中心に栽培しています。そして、その農作物をつかい、味噌、醤油などの発酵食品、保存用品、自然化粧品などの加工を行なっております。
この度、農家の自家採種(種とり)の権利を奪い、国民の食の安全や日本の食糧安全保障を脅かす種苗法改定法案が国会に提出されようとしております。これは、国民の永久の権利として日本国憲法第25条で保障されている基本的人権の「生存権」を脅かす憲法違反となる法改正であり、この改定に断固反対し、その後ろ盾とされるTPP協定についても差し止めを請求する本訴訟の趣旨に賛同いたします。
多くの方がこの訴訟に関心をもっていただき、現在追加募集している原告の1人に加わっていただくことを呼びかけます。
「主要農作物種子法」廃止、「種苗法の一部を改正する法律案」は違憲・無効
日本の国民が食で飢えないように、戦後制定され、主要農作物、米、麦、大豆などの種子の農家への安定供給を国や都道府県などの公共機関に義務付けた「主要農作物種子法」の廃止や、農家の自家採種を原則禁止とする「種苗法」改定など政府の政策の後ろ盾がTPP条約であることは今回の一連の訴訟を中で明らかなりました。しかし、「主要農作物種子法」の廃止や、今回の「種苗法」改定は侵すことのできない永久の権利として日本国憲法で保障される基本的人権・第25条生存権「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」を冒すため、国会での法の廃止・改定・制定自体が日本国憲法に違反し国無効であるとする「TPP交渉差止・違憲訴訟」の趣旨に賛同し、多くの方がこの訴訟に関心をもっていただき、現在募集している原告の追加募集に加わっていただくことを呼びかけます。
農家の自家採種の原則禁止につながる種苗法改定に反対!
日本豊受自然農は、静岡県、北海道で、300種以上の在来種を自家採種・自己増殖を基本に栽培している農業法人です。日本のお百姓さんが、先祖代々守り伝えてきたタネとり(自家採種・自家増殖)の権利が奪われ、ひいては日本の農業のさらなる弱体化に加え、日本の食の安全、食糧安全保障にも大きな脅威となります。ぜひこの問題の本質を知って、多くの人がそれぞれの立場でできることから実践していただきたいと思います。
日本で育種開発された優良品種の海外流出を防ぐにも有効な法改正でない
日本で育種開発された優良品種の海外流出を防ぐためという一面のみが農林水産省やマスコミなどで強調され宣伝されていますが、そもそも種苗法を改正しなくても優良品種の海外流出は防ぐ方法はあることは、映画「タネは誰のもの 種苗法改定で農家は?」(予告ショート版)でも山田正彦氏がシャインマスカットや山形のサクランボウの事例をあげ指摘していますので、ぜひ、ご覧ください。
タネはみんなもの 公共の財産! 生命への特許を設定すること自体反対です!
そもそも、植物遺伝資源である種子(タネ)は生きとし生けるものの命の根源、大自然からの贈り物であります。先祖代々お百姓さんがタネとりでよい種苗を選抜しながら何百年単位で守り伝えてきたものであり、この間、無名の多くの農家の方々が品種の維持と改良を続けてきた賜物、すなわち公共の財産です。このような植物遺伝資源である種子に、後世になって、一部の企業などがF1種、遺伝子組換種子などを開発したと宣言して、後付けで種子に知的財産権(特許)を主張し、種子を知的財産権利者が独占しようとする考え方自体、人間さまの傲慢であり、また、大自然からの贈り物である生命の基本単位の遺伝子(ゲノム)を、人為的に改変する遺伝子組み換えやゲノム編集などの技術開発自体を、ドイツのように生命に関わる特許の成立自体を認めないという考え方の方がまっとうなものと考えます。
種苗法改正は農家の自家採種を禁止し、日本の農業を滅ぼし、食の安全を脅かす
政府がTPPの内容にそって「種苗法の一部を改正する法律案」を閣議決定し、2000年1月から6月に開催された第201回国会にて農家や国民にも広く知らせずにこっそり審議成立が目指された「種苗法の一部を改正する法律案」では、これまで原則認められてきた農家による次期作のための登録品種の自家採種・増殖の権利を認める条項が削除され(同第二十一条)、通常利用権(有料の許諾制)によって実質的な禁止へ導く内容にされるとともに、特性表の活用によって種苗企業などの育成者権者による権利侵害の立証が容易になるなど、国際的に認知された農家の自家採種・増殖を認める権利がこのままでは著しく制限されるものになっていてこの点が大きな問題です。
農家の自家採種の権利を守る法律の制定や条例の制定が急務
海外では農家の自家採種の権利を守る法律がある国も多い、日本で種苗法が改正され、農家の自家採種の権利が制限されるなら、農家の自家採種の権利を保護する法律の制定も必要、国政で無理ならば、都道府県や市町村の条例整備で対抗できないかなども検討していく必要があるのではと考えています。
また、在来種の自家採種での農業を推進することは、地域にあった在来種の植物の多様性を維持することにもつながります。種子の保存とは、農家が毎年作り続けることで在来種は守り継がれますが、病虫害や気候不順、風水害などで1農家だと途絶えてしまうリスクもあり、原種の種子を保存しておく民間のシードバンクや複数農家での栽培、また広島県でおこなわれており、映画「タネは誰のもの 種苗法改定で農家は?」でも取り上げられている公共もからんだシードバンク的な組織などの整備も必要であり、こういった地域での在来種保存を可能にする体制を認める法整備なども求められるのではないかと思います。
登録品種で自家採種すると農業法人は3億円の罰金、10年以下の懲役、共謀罪の対象
登録品種についての農家の自家採種禁止は、第201回国会で提出された時点では、改正の施行さへ前倒しして、なんと今年の12月から実施され、来年の栽培には違反した場合は、個人の農家は1000万円以下の罰金と10年以下の懲役、共謀罪の対象、農業法人にいたっては、3億円の罰金と、法外で懲罰的な罰金が科せられています。なぜ、農家が種子とりをして、このような法外な罰金まで受けなければならいないのでしょうか。この金額を払える農家や農業法人なんてなかなかないでしょう。つまり代々受け継いできた自家採種・自家増殖の農業は廃業しなさいという国の指示は、到底理解もできない、農民を馬鹿にした受け入れることができない法改正であり、断固として抗議したいと思います。
登録品種の数は10%だからほとんど農家には影響ないという農林省Q&Aは詭弁
今はタネとりしている農家なんてほとんどないと誠にしやかに説明される方もいますが、現在でも約半数の農家が自家採種・自家増殖をしています。そのうちのかなりな割合が人気品種でもある登録品種であることを考えると、登録品種が栽培金額では数十%は占めるとも推定されます。前述の映画「タネは誰のもの 種苗法改定で農家は?」では、いかに今回の法改正が多くの農家にダメージを与えるかを取材していますので、ぜひご覧ください。登録品種の品種数全体からみると10%だからほとんど農家には影響ないという農林水産省のQ&Aは詭弁ではないかと思います。まして、私たち日本豊受自然農のように、在来種、固定種しか使わず、自家採種・自家増殖を行なう農家にとって大打撃なのです。
「確認しておこう。農水省は種苗法改正の対象となる登録品種はほんの一部でほとんどは種苗法改正の影響を受けない「一般品種」でその割合は1対9で「一般品種」が多いと言う。 しかし、登録品種はいずれ時が経てば「一般品種」になるので、数の上では多くなるのは必然。だけど、古い「一般品種」が栽培されるという保証はなく、実際に栽培される品種で比べなければならないはず。そして実際に栽培される品種で比較すると登録品種の割合は1割という数字にはならないのだ。
印鑰智哉Facebook
お米の場合は全国の生産量で33%、品種の数では64%になる。登録品種の割合は地域や作物によって激変し、100%登録品種というケースも逆に0%もある。サトウキビは沖縄でも鹿児島でもほとんどが登録品種だ。地方自治体が力を入れる主力産物ほど登録品種の割合が高くなる傾向がありそうだ。となると、その地方で重要なもので登録品種の割合が高くなるのだから、1割しかないから大丈夫、という農水省の言い分は当てはまらないケースが少なくなく、問題があると言わざるを得ない。
農水省はほんの一部というが、実際に改正で自家増殖許諾制の対象に変わる登録品種の数は5294品種にのぼる(登録品種の8315のうち、3021品種はすでに自家増殖規制対象なので、法改正の影響を受けない。要は8315品種が自家増殖許諾の対象となるということ。いや、その中には許諾を得られないケースも多数あるだろう)。」
伝来の在来種栽培でも登録品種と疑われ訴訟のリスク
DNA判定でなく特性表の活用によって目視によって登録品種かどうかの判断がなされると在来種であっても登録品種と誤った判断がされるリスクも高く、種苗企業などの育成者権者による権利侵害で訴訟をされるリスクが高くなります。在来種の自然型農業をやっているから、関係ないとも言っていられません。
日本が開発してきた公共の種子の知見や権利をなぜ外資含む民間に譲渡するのか?
種苗法の改定案では、国などの公的な機関の知見・人材・労力を使って、民間企業などの育成者権者のために新品種登録を推進する方向に重きが置かれた内容(種苗法開戦案 第15条)となっています。2017年にTPPとの関連が指摘されている農業競争力強化支援法が施行されました。これにより種子生産に関する知見を民間企業に提供・促進することが公的な試験機関に求められており、種子の開発、生産、普及に関する事業が公的機関から民間企業に移譲される事態になりました。公共品種の権利が外資を含む民間企業(グロバール種子メジャー等)に譲渡されれば、その譲渡された種苗企業の裁量により種苗を合法的に海外で栽培し、産地化することが可能となります(種苗法改正案第21条)。つまり、本改正案の提案理由とは真逆に、むしろ改正案が日本で育種開発された優良品種の海外流出を加速・強化する可能性をはらんでおります。加えて、民間企業へ移管されると種子・種苗の価格が10倍といった単位で値上がりし、自家採種・自家増殖の禁止とあいまって、種子・種苗の購入費が、農家の経営を圧迫している事例は、海外の事例をみれば明らかです。
種子ビジネスは農薬、化学肥料とセット 3集団で世界の2/3を支配
民間企業といっても、グローバルな種子ビジネスでは、種子が、農薬、化学肥料とセットとなったビジネスとなっており、世界の農薬、化学肥料、種子の2/3の事業を独占するわずか3集団のグローバル種子・化学企業メジャーの息のかかった企業が、育種権を取得するリスクを考慮しておかなければなりません。そしてこれらの企業が雄性不稔など不自然なF1種の種子、遺伝子組み換えの種子、ゲノム編集の種子の育主権をもち、サプライヤーでもあります。
主要農産物種子法の廃止
既に市場で販売される野菜の種子は9割がF1種、9割が輸入とも言われますが、我が国では、米などの穀類では、GHQ占領下から開放されるとすぐに主要農作物種子法を成立させ、ほとんどの米などの主要穀類の種子の国内自給を国と都道府県の支援により続けてきました。
しかし、2018年4月には日本の主要農作物種子法がTPPに沿って廃止され、これまで都道府県が担ってきた米、麦、大豆など主要農作物の種子の安定した農家への供給を公共が保障する法律的後ろ盾が失われました。穀類の種子の安定供給は1農家だけでできるものではありません。公共がバックアップすることで、長期な安定供給が可能になります。
海外での遺伝子組み換え種子の遺伝子汚染を盾にし
海外で問題となっている遺伝子組み換え種子がハチ達などにより、遺伝子組み換えでない系統と交配してしまったことによるパテント侵害の遺伝子汚染を盾に高額な賠償を求められ大豆やトウモロコシ農家などが倒産に追い込まれた事例なども、グローバル種子メジャーの息のかかった民間企業に育主権が公共から移管された場合は考慮すると在来種を栽培している農家だから関係ないなど言ってはいられません。交配したハチが悪いのではなく、遺伝子組み換え種子を作ったことによる種子の汚染が問題であり、逆に農家は汚染の原因をつくった企業を訴えるべきだと思います。
農家の自家採種は禁止で、なぜ市民の家庭菜園はOK
家庭菜園での自家採種はOKだが、農家が自家採種すると、個人の農家は1000万円以下の罰金と10年以下の懲役、農業法人にいたっては、3億円の罰金と、法外・懲罰的な罰金だから、農家、農業だけの問題だと、国民、市民の皆さんが考えているとしたら、少し浅はかかもしれません。また、農家の運動が家庭菜園の市民と連携することのないような離間工作の策略かもしれません。
そのツケは結局農家だけでなく市民、国民にまわってくる
種苗法改正 自家採種禁止でタネをグローバル種子メジャーに握られた場合の影響は農家だけに来るのでしょうか。いえいえ、そんなことはありません。海外での事例をみればわかりますように、グローバル種子メジャーなどは、農薬、化学肥料、種子がセットでのビジネスです。また、付加価値の高い、遺伝子組み換えやゲノム編集、F1種の種子などを売り、彼らの農薬、化学肥料もセットで販売して儲けようと考えるのは当たり前でしょう。
そうすると、国内の農産物でも、グローバル種子メジャーに種子の育主権を握られてしまえば、日本国内の消費者は、オーガニックな農産物でなく、農薬、化学肥料たっぷりの農作物、さらに、安全性に懸念の強い遺伝子組み換への種子の農作物や、ゲノム編集された種子の農作物を食べざるをえなくなる。とすると、市民、国民の食の安全、健康が脅かされるのです。
しかし、人間の体は出来たもので、1週間、NON GMOでオーガニックの食生活に切り替えると、尿からほとんど農薬成分が不検出になることもわかっており、グリホサートを含め農薬起因と思われる心身の様々な不調や疾病も、GMOをとらない、オーガニックな食材に切り替えることで、見違えるほど改善していく事例を、映画「遺伝子組み換えルーレット」のジェフリー・M・スミス監督が新作の映画「シークレット・イングレディエント」で解説しています。今年の5月に、ジェフリー監督にインタビューした映像の中でもこのあたりの話題が出ていますので、興味のある方はぜひ見てほしい。
GMO グリホサートについては、日本豊受自然農主催で2000年6月5日開催された「第9回 日本の農業と食を考えるシンポジウムでの世界の食問題研究家 印鑰 智哉さん「世界におけるGMO・グリホサート問題の現状」講演がYOUTUBEに公開されていますのでこちらもご覧ください。
食糧安全保障の観点から 食糧自給率の低下のリスクとは
国内の農業が衰退し亡びても海外から農産物を購入すればその方が合理的などと主張する人もいますが、果たしてそうでしょうか。
新型コロナに端を発した世界の大変動で、食糧の輸出禁止を表明する国が相次いでいます。日本人はいつの間にか、食への感謝を忘れ、多くの食べ物を食べ残しや賞味期限切れなどを理由に廃棄しています。
しかしながら、1億人以上の人口を有する大国では日本の食糧自給率は、世界ダントツに近いほど低いのです。山田正彦元農相が指摘していましたが、農林省は今年の統計から国内畜産の食糧については、飼料を輸入していても国産にすり変えたため、旧来のカロリーベースの日本の自給率は既に3割を切ったとまで言われています。
もし今、大災害や気候変動などで食糧危機に襲われたとき、国民はどのようにして、この危機を乗り越えていくことができるのでしょうか。
戦後の食糧危機のときでさえ、食糧自給率は6割程度あり、もちろん海外からの食糧援助もあったとは言え、国内では校庭や公園にまで薩摩芋を植えたり、また、人口の半数近い農民が、各地域の農村で一生懸命食糧増産したから餓死者をほとんど出さずに乗り越えられました。わずか75年ほど前の出来事です。お金があれば食糧はいくらでも買える? 果たしてそうでしょうか。江戸時代の飢饉の際は金貨を持っていても食糧は手に入らなくて餓死した風刺画をみたことがあります。7割の食料輸入が途絶えたとき、こういった危機管理を考えるのが、本来は国政を担う政治家や国の官僚の役割であり使命ではないでしょうか。
- 食糧の備蓄はありますか?
- 種子の備えはありますか?
- 農地はありますか?
- 農民、農業の働き手はいますか?
私がもし今総理大臣でなったとしたら、高校を卒業したら、2年間は皆、畝を立てたり、種子をとったりを学ぶ徴農制を行い、国民1人1人に農業ができる技術を身につけさせたいと思います。
遺伝子組み換え種子とセットで使われるグリホサート 世界は禁止、日本は基準大幅緩和
遺伝子組換え作物の栽培とセットで使われる除草剤グリホサートなどは、発がん性あるとの判決が相次ぎ、モンサント(現バイエル)の農薬ラウンドアップに関する12万5000人の訴訟が起きており、その大部分についてバイエルは最大109億ドル(約1兆1700億ドル)の支払いで和解したとバイエルが6月24日に発表。同時にジカンバやPCBの訴訟も和解したと報道。しかし和解の応じない人もいてまだ決着していないのではないかと思います。
この訴訟を弁護士として担当したジョン・F・ケネディ大統領の甥っ子のロバート・ケネディJr. 原告のガン患者のジョンソンさんのインタビューも収録され、2020年秋に完成予定の原村監督の「食の安全を守る人々(仮題)」予告編もぜひご覧ください。
現在、グリホサートは、その安全性への懸念からEUをはじめ世界の多くの国で流通、栽培が禁止されています。ところが日本ではEUなどの動向と反対に2017年に グリホサートの農作物への残留基準値を大幅に緩和しています。これは、農産物へのグリホサートの含有量が増えたため、それでも日本に輸出できるように緩和したのでしょうか。トウモロコシは5倍、小麦は6倍、ゴマは80倍、ひまわりにいたっては400倍です。 例えば牛肉は2.5倍に緩和され、これはEUで認められている100倍 同じ量を食べてもそれだけ、グリホサートを消費者が食べることになるということです。
一方で農林水産省は枯葉剤やネオニコチノドなどその他の農薬の残留基準を大幅にゆるめています。農場でも大量に農薬を使いますと、それが飲料水にも影響しますので、この4月には厚生労働省が水道水の農薬基準を大幅に緩めています。実は、グリホサートの水道水基準は、リットルあたり2ミリグラムを3ミリグラムに緩めようという話もあったのですが、この4月の改正では2ミリグラムの基準は変更されませんでした。というのも、日本の水道水のグリホサートの含有管理目標は、EUの2万倍だからです。2017年のロンドン大学の研究では、ラットにごく微量のグリホサートを含む水を約2年間にわたって与えた結果、与えたラットの群に明らかに脂肪肝が見られたそうです。実は、その2年間ラットに飲ませた水のグリホサートの濃度は、日本のリットルあたり2ミリグラムという水道水の規制値の4万分の1と、すでに規制値自体意味がないほど高いところに設定されているのです。
母乳からも毛髪からもグリホサートが検出されると、今の人が病気になるだけでなく、子、孫などの代への病気や奇形という 本当に大きな問題につながっていくと思います。すぐに、日本でも除草剤や収穫前のグリホサートを使用を禁止していかなければなりませんし、グリホサートを多く含む 国内でもプレハーベストにグリホサートを使っている小麦や大豆、輸入の小麦、輸入のGMOのコーンや大豆や綿花、その加工品や肉・乳製品をできるだけとらないことが大事です。また一番大事なのは腸内細菌、土壌菌をしっかりすることです。
発酵食品などで、腸も農地も対策していただければと思います。
上記のような日本のグリホサート規制緩和政策の影響もあり、海外市場で締め出されたグリホサートを含有する食品の日本への輸入集中のトレンドが大変気になります。日本ではグリホサートの使用規制の動きもほとんどないため、ホームセンターに行けば、グリホサートのコーナーができるほど大々的にセールされ、TVCMまで流されています。
遺伝子組み換え種子とセットでグリホサートを供給するグローバル種苗メジャーは、グリホサートが体内に蓄積しないと説明していましたが、家畜からも妊婦さんからも母乳からも一般人の毛髪からも検出されています。(日本でも、デトックスジャパンプロジェクトがスタートしています。)
グローバル種苗メジャーはグリホサートが植物のシキミ酸回路をブロックするため植物が育たなくなる部分に注目しグリホサート耐性ある遺伝子組み換え種子をつくり、遺伝子組み換え種子とセットで使う除草剤としてグリホサートを販促してきました。グローバル種苗メジャー企業は、人間や動物にはシキミ酸経路はないので無害だと説明していました。しかし、これは事実ではありませんでした。実は、植物だけでなく土壌菌にもシキミ酸回路があり、多くの土壌菌を死滅させてしまう他、人間や動物、昆虫などの生体内で重要な役割を果している腸内細菌などのバクテリアにもシキミ酸回路があり、グリホサートを含有した食べ物を摂取することで、善玉菌を含む多くの腸内細菌を死滅させてしまうため、腸内細菌の環境が大きく崩れることもわかってきています。町内最近は体を守る免疫の最高位にある程、大事なものです。
加えて、グリホサートはミネラルを包み込むキレート剤としても働きます。この結果、グリホサートが畑にまかれると有用ミネラルを植物が吸収できなくなるため、収穫物は必須ミネラルなどの栄養不足のものになります。このため、例えばとうもろこしでのデータ比較ですが、形は同じように見えますが、GMOのコーンは有用ミネラルをほとんど含まない栄養不足の農作物になってしまいます。結果的にそれを食べている人間や家畜が必須ミネラルなどの栄養不足で健康に問題を起こすことが論文などでも指摘されています。
このあたりのお話は前日の原村監督の「食の安全を守る人々(仮題)」(予告編)でも取り上げられています。
また、グリホサートは抗生物質として腸内細菌の中でも、ドーパミンやセロトニン生成に関わる有用な腸内細菌にもダメージを与えるため、鬱病などにも関係しています。その他、糖尿病やパーキンソン病、がんをはじめ様々な心身の病気の原因になっていることを指摘する論文や研究もあります。
私は、腸内細菌はもともと土壌菌由来のものが多いのではないかと考えています。実際、昔のお百姓さんの中には体調を崩すと土を食べて健康を調整していた人もいるようです。
ラットの実験では孫、ひ孫、F2、F3の段階で奇形が多発していますので、日本でもグリホサートの体内蓄積は急速に進んでいるものと懸念されます。これからの世代の、子どもたち、孫、ひ孫の国民の健康が心配です。
韓国では「ローカルフード条例」が制定され、学校給食には、地域のオーガニックな農作物が優先的に採用され、次代を担う子どもたちが健康になるための注目すべき取り組みが行なわれています。原村監督の「食の安全を守る人々(仮題)」でも取り上げられています。
海外で敬遠されるGMO、農薬づけ食糧が大幅日本市場に流入
海外市場であふれた遺伝子組み換えの食品、そしてそれらを原材料とする油やでんぷん、糖類などの加工品や遺伝子組み換えの飼料をエサにした肉乳製品などの日本市場への流入が急増しています。ちなみに、遺伝子組み換えのエサ、飼料を与えた家畜の肉や乳製品、糞尿は、大丈夫なのでしょうか。グリホサートが高濃度で残留しているだけでなく、さらに懸念されることがあります。それは、映画「遺伝子組み換えルーレット」を制作したジェフリー・M・スミス監督も指摘していましたが、遺伝子組み換えのエサ、飼料を与えた家畜の肉や糞尿からは、謎の物体Xと、ジェフリー監督は指摘していましたが、異常なプリオンが発見されています。これらを食べたり、畑に肥料として入れたりすることまで、大丈夫なのかと懸念しています。
オープンな農場で遺伝子組み換え、ゲノム編集種子が栽培される悪夢
日本は世界で最も多くの遺伝子組み換え作物の一般栽培を承認しています。さらに昨年には、農林省はゲノム編集種子のオープンスペース(畑)での一般栽培は安全とし、許可や届出も不要となり、ハチが1-2km四方に受粉で運ぶため、日本全土の米の遺伝子破壊・遺伝子汚染という取り返しのつかない環境破壊にもつながりかねないです。山田正彦元農相はオープンスペースでのゲノム編集された飼料米の国内一般栽培まで開始されようとしていると云っています。これには国民が声をあげて、ストップをかけていかなければならないと考えています。今治市では、条例を制定して、市内での遺伝子組み換えの作物を市に無許可で販売すると罰金と懲役がつくまちづくり条例を制定していると聞きました。今、緊急に全国の自治体で、ゲノム編集種子の無許可で栽培を禁止し、違反者に罰金と懲役を科す条例制定の働きかけが全国で必要なのではないでしょうか。
私たちにできること
嬉しい展開になりました
まず、私たち1人1人が種子に関する問題の本質知ることであり、この問題の重要性を理解した人から、それぞれの立場で行動を起こすことが大事ではないかと思います。
例えば、多くの人にこの問題の重要性を伝えていくことも重要ですし、山田正彦先生も提案されていますように、都道府県や市町村などに意見書を提出することや、条例制定を働きかけること、また、署名活動に協力することや、場合によっては裁判など司法の場で争うこと、また、この問題を取り扱った映画の制作や上映などをサポートすること、また実際に自家採種の農業、また家庭菜園を始めることなど、様々な対策があると思います。ぜひできることから取り組んでいただきたいと思います。