47都道府県に設置されている農林大学校の頂点に立つ、長野県の八ヶ岳中央農業実践大学校にて、農の復興を、農業技術の開発から支援することを目的に「八ヶ岳フォーラム発足記念大会」が6月16日(火)、17日(水)の2日間にわたって、各界から50名以上の参加者が集い開催されました。フォーラムでは、農業者、企業、行政機関、大学、試験研究機関等の関係者が、農村更生協会付属で日本最大の農業教育ファーム八ヶ岳中央農業実践大学校に一堂に会してオープンイノベーションのスタイルで、広大な農林大学校の実験場を使っての共同研究・実証実験を行い、農業技術確立を目指すもの。1日目の式典、実験場見学、懇親会に引き続き、2日目には、企業・技術プレゼンテーションが行われました。
その中で、自然農の技術、六次産業化への取り組みを中心に日本豊受自然農(代表 由井寅子)がDVDでのメッセージと映像で20分で発表を行いました。発表の中では、自然農と六次産業化へ取り組むことになったきっかけや、食原病や農薬の害、インナーチャイルドでの由井代表のホメオパシーでの改善のケースなども上映されました。皆さん熱心にケースには見入っていました。また自然な種、無農薬無化学肥料で土づくりにこだわるという日本豊受自然農の活動方針や食の安全へのポリシーも発表。加えて、食品・化粧品加工から販売、レストラン事業までの六次産業化への取り組みなどのユニークな実践も大変印象的などの感想もありました。由井寅子代表のメッセージについては、農の復興へも大変重要な意義のある発表となりましたので、なにがしかの形で、文字や映像などで多くの方にその骨子となる部分を紹介することも検討中です。
▼八ヶ岳フォーラムについて

▼ ビデオメッセージの画像

由井寅子代表のプレゼンテーションでは、日本の農の復興のために自然型農業と六次産業化で貢献する実践活動とその成果と将来ビジョンが発表されました。また、自らがホメオパシーという自然療法家として活動していく中で、多くの日本人が不自然な「医療」「食」「農」「心」の問題から病気になっている点を指摘し、これらを次々と代表がホメオパシー健康相談で治癒に導いている症例も紹介。健康とのかかわりで食と農の問題に取り組んでいる活動を皆さん真剣にケースを見ておられました、DVDでは豊受の農作業、土づくり、農家自身が加工食品、化粧品づくり、顧客販売、アンテナショップづくり、東京でのオーガニックな日本食レストラン事業を行う六次産業化への取組みの模様も流され、聴講の学校、企業関係者、八ヶ岳中央農業実践大学校 生徒を含め熱心に聴講されていました。
※タイトル大恩百姓(読み おおみたから)について:古来より日本では、食の生産を担い農業を行う百姓(領民)を、大恩百姓と呼び、農業を営むという職自体に天皇陛下をはじめ敬意が古来から払われてきた話を、2014年に京都で開催された「第3回日本の農業と食 シンポジウム」にて、来賓で国史研究会代表の小名木善行さんがプレゼンされ、お百姓さんとしてプレゼンした由井代表に、大恩百姓と農業という職そのものに敬意を表すという点から、職業のタイトルとしてすすめられたいきさつから時々このタイトルを使用しています。
日本豊受自然農の農場での実践の様子上映(函南農場、遠くに富士山も見える)

▼日本豊受自然農の自然型農業の実践の様子は下記のYOUTUBEも参照ください。
医原病、食原病、農薬健康被害などがホメオパシー健康相談で改善していったケースも上映された

企業プレゼンテーションは、農林大学校の生徒さんも含め多くの方が聴講

「八ヶ岳フォーラム」発足記念大会 式典、プレゼンテーション(レポート)
フォーラム発足記念大会は、NPO法人元氣農業開発機構の成瀬一夫幹事長の司会・進行で行われ、開会挨拶では、主催者側として、NPO法人元氣農業開発機構の古瀬洋一郎理事長(元三洋電機副社長)が、民間の農業技術を結集して日本の農業を元氣にしていくために各界の有志が集まり設立された同法人の活動とフォーラムめざす目的が同じところにあり、今回の八ヶ岳フォーラム発足にこぎつけられたことに対し、準備に関わられた皆様への御礼とこの2日間の盛会を願っての挨拶となりました。

引き続き、農村更生協会の濱口義曠会長(元農林水産省事務次官)が、3月の東京都港区で行われた八ヶ岳フォーラムの交流会の話(下記 新聞記事)に付け足す形で挨拶をされ、八ヶ岳中央農業実践大学校発のブランドでお全国でも話題となった八ヶ岳アイスクリーム(雑誌ブルータスでも取り上げられ、全国1-2にランクされた)や、本州ではあまり例のない、従来の舎飼いでなく、八ヶ岳に自生する草を食べてもらっての放牧した乳牛ホルスタインの飼育により、新しい付加価値をつけた乳製品を生み出す八ヶ岳農林大学校自体のチャレンジについてもお話しをされました。最後に今回の八ヶ岳フォーラムが、長野県の八ヶ岳地域だけのものに終わることなく、全国の農業復興へのシナジー効果を生む、歴史的なフォーラムになるようと願っていると付け加えられました。濱口義曠氏が会長されている全国農村更生協会の管轄している全国の農林大学校の頂点に立つ八ヶ岳農業実践大学校から47都道府県にある農林大学校にもこのような動きが広がってシナジー効果を生み出していくことも今後期待されます。
▼以下の記事は3月の交流会での濱口義曠会長の八ヶ岳フォーラムについての発表内容

そして、開催挨拶のトリは、元農林水産省技術会議事務局長を務め、農林水産省の技術行政に関わってこられ、また特に川下の食品関係の研究に長年関わってこられ、現在も鹿児島大隅半島で政府の加工食品の研究所の立ち上げや、食や農作物の安全な基準づくりに関わっておられる岩元睦夫氏(現 日本フードスペシャリスト協会会長)が「農の復権」に向けたこれからの農業技術のあり方についてのお話をされました。

今回の開会挨拶の中で岩元睦夫氏は、TPPの時代にも対応していくためにも、日本の農業には、国民の食の安全安心を守るというとても大事な役割があり、農作業という大変きつい仕事を担っていただいている農業担当者を国、国民をあげて、支えていく仕組みづくりが求められるという認識を示され、また以下のようにも述べられました。「少しでも農薬を使わない、かつまた安全で安心というキーワードに率直に応えるような技術が欲しいというのが、今やどの農家からも言われます。20年前ですと『いや農薬なんて安全だから使っているのであって、そんなことなんてどうでもいいんだ』ということでしたけれど、今や全国の農家自らがそういう発想に変わってきています。」と農業の現場の声を含め発言。農林水産省で長年、農業技術の研究職、技術行政にも関わってこられたキャリアOBの側から、行政としても積極的に国民の食の安全・安心を守るための「無農薬(減農薬)で農業を行なえる技術開発というものが必要だ」という問題提起がなされたことは、この分野での取組が諸外国に比べても遅れている日本の農政において、農業技術行政を反省し、今後の農政技術政策の転換につながる方向性を提案したという意味で、まさに画期的な挨拶となりました。また岩元氏は、農業における日本の研究は、科学的な研究は立派な部分が多いが、実際に農業の現場に貢献する農業技術に応用する部分が弱く、一方で、日本には、農の復興に貢献できる様々な技術のシーズを持っておられる中小企業が全国にあり、これが日本の民度の素晴らしさである点に触れ、この埋もれた素晴らしい技術を掘り起こし、まだ日本の農業に夢が語れる今、これらの技術を八ヶ岳農業中央農林大学校で実証実験を行い農業技術として確立していくこと意義を述べられました。今回の八ヶ岳フォーラムがこれらの諸課題を解決に貢献する第一歩としてスタートしたことを大変嬉しく思う点を発言され挨拶を締めくくられました。
【補足】岩元睦夫氏は2014年3月に、京都で日本豊受自然農、元氣農業開発機構共催で行われた「第3回 日本の農業と食 シンポジウム」で「自然との共生社会の実現と「農」の役割」をテーマに記念講演をされました。
▼参照リンク
ライブストリーミングもされた上記シンポジウムの記念講演では、岩元睦夫氏の日本の農業のおかれている諸課題に加え、明治維新の時代に、鹿児島出身でフランスに留学、帰国し、47都道府県に、甲州のワイン事業やサクランボをはじめ様々な地域特産の農産物づくりを行い、地域の産業興しを行った前田正名氏のエピソードを紹介されました。「農」を「農業」に、そして地域の基幹産業に高めていき、農林省から山梨県の県令(現在の知事職)としても活躍した前田正名氏、農の復興、地方再生と六次産業化推進には前田正名氏のようなマインドを持つ人物が各地で農の復興へ活躍されることの重要性を感じました。
来賓挨拶としては、農林水産省農林水産技術会議事務局で現役の研究推進課長を担当されている島田和彦氏(写真左 写真右は岩元睦夫氏)が挨拶をされました。

島田課長は東京で3月に行われた交流会で詳しいプレゼンテーションを行われましたが、このプレゼンテーションの内容に追加する点として、現在策定中の農林水産省の5ケ年計画に触れられ、正確に日本の食糧自給の問題の本質を見るには難点もある「カロリーからはかる食糧自給率」という考え方に加え、農の復興と食糧自給の向上につながる「食糧自給力」という新しい概念を説明されました。ここには担い手、農地の活用率、そして技術力の裏付けなども加味されたものであり、食糧自給率は高齢化により、全国民のカロリー消費が低下していおり自給率の低下は見られませんが、食糧自給力の視点からだと、近年5%も低下しており、現在の農業、食糧自給の問題の構造を明らかにしている点なども説明されました。現在日本には450万ヘクタールの農地がありますが、その中で6%の耕作放棄地がある点と高齢化によりこの比率が増加するリスクに対して対策が急がれる点を指摘し、また高齢化により現在220万人の農業の担い手が10年たつと170万人ぐらいに落ちてきて、国民に安定した食糧自給を行うにはリスクになるという点にも触れられ、八ヶ岳フォーラムが目指すオープンイノベーションで、様々な異分野の技術を、この多くの問題を抱える食糧自給、農の分野に生かす取組みの重要性についても触れられ、農林水産省としてもこのフォーラムの考え方に賛同、応援していきたいという点にも触れられました。その中で日本食のもつ素晴らしさの再評価についても話されました。また、欧州では地中海料理が持つ健康への貢献をアピールして世界的に地中海料理がブームになったように、日本食が健康に貢献するエビンデンスの蓄積などの大切さなどにも触れられました。東京地区などでは、日本の伝統的な食文化が失われ、家庭で料理をつくらず家族で食べない、コンビニ食などに依存する「個食」というライフスタイルの普及で、高齢者は栄養失調、中年は肥満、若い女性は栄養失調という健康問題にもつながっている点なども指摘されました。栄養学的な観点に加え、食のスタイルも健康にも影響がある点にも触れられ、昔は口内調味という口の中で、納豆やごはんなどをうまく混ぜて食べ消化するというスタイルから、どんぶりもののように全てが混ざっているというものを食べるということでの健康への影響なども研究しており、食を支える農業の現場も農業従事者が収益をあげていくことを支援できる技術としての技術支援などが重要という話をされました。技術が日本の農業と食を支え、地方から技術で食と農を支えていくという八ヶ岳フォーラムの取り組みの意義と、農業行政としても発想を変えていく重要性を語り、挨拶を締めくくられました。島田会長は、今秋11月18日(水)~20日(金) 東京ビッグサイトで開催されるアグリビジネス創出フェアの事務局も担当されています。
その後、八ヶ岳農業中央農林大学校の藤井校長から、学校の活動について詳細な説明が行われました。

▼同農林大学校の詳細は以下のホームページを参照ください。
引き続き、来賓発表として、土壌汚染やPM2.5などの環境汚染などにも関わる中国の食、農業、環境問題を解決するための日中経済協力プラットフォーム事業を進めるプロジェクトについて三浦一志会長が記念スピーチを行い、花の装飾により、様々なイベントで新しい空間の美づくりで活躍されている花飾人の宮内孝之氏も記念のスピーチを行いました。式典の締めの挨拶を元氣農業開発機構の坂本副会長が行なわれ、初日のプレゼンテーションの部が締めくくられました。

その後 数百ヘクタールの実験農場の現地見学会が行われました。初日の夕食会を兼ねて行われた懇親会には40名近くが参加し、全参加者の紹介とともに、活発な情報交流が行われました。
2日目には、農の復権に向けユニークな技術をもつ、10の企業による技術プレゼンテーションが行なわれました。また、農林大学校の学生も含め、活発な質疑が行われました。





そのプレゼンテーションは日本の「農の復興」にインパクトを与える様々な画期的な技術発表の場となり、今回発表の企業に加え、元氣農業開発機構のネットワークで様々な民間技術の団体もフォーラムへの参加の意向を表明してがおり、今後、関係諸団体の調整を含め、具体的な実証実験のアクションプログラムづくりが進んでいくこととなりました。初日、2日目の実証実験・共同研究プレゼンテーションを含め詳細は、7月10日に発行される環境農業新聞でも特集される予定です。また、初日の模様は地元紙にも報道されました。
