日本のGMOダンピング市場化加速を「遺伝子組み換えルーレット」ジェフリー監督が警告(共同記者会見報告)

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雑誌「豊受」編集部が『遺伝子組み換えルーレット』のジェフリー・M・スミス監督の共同記者会見を取材

2月28日(日)新御茶ノ水にあるPARC自由学校(映画DVD制作会社)で行われた『遺伝子組み換えルーレット』のジェフリー・M・スミス監督の共同記者会見に雑誌「豊受」編集部も参加し記者会見を取材しました。

記者会見ではジェフリー監督が、欧州に続き米国の消費者、そして食品業界が、安全性への懸念や消費者の買い物行動の変化からGMO離れが進みつつあるトレンドをまず説明され、逆に日本における遺伝子組み換え(GMO)表示システムが脆弱であるがゆえに、また日本の消費者のGMOへの認識の大変遅れているがゆえに、米国でも行き場を失った遺伝子組み換えのGMO飼料、GMO食品が日本へ大量に流入している現状にも言及し、今後さらに日本市場のGMOダンピング(売れ残り品をさばくための)市場化が増々進む点に警鐘が鳴らされました。今回の会見はジェフリー監督が日本各地での来日講演され、GMO問題に取り組む様々な団体や市民との交流の締めくくりとして企画されたものです。

4つのポイント

  • GMOは安全でないという証拠(エビデンス)が、しっかりとあること、これは東京、京都、福岡での講演会でも詳しく解説され、各地で上映会が開催されている「遺伝子組み換えルーレット」の映画の中でも示されている点を強調されました。
    ジェフェリー監督東京講演で使われた日本語訳されたパワーポイントが情報共有のため公開されています。 ※公開終了
  • 今予測できる事態として、かつて1990年代に欧州が経験したように、やがてアメリカにおいては、消費者の懸念に基づいて、また消費者の購入パターンの変化に基づ居いて、食品業界がGMOからの撤退を始める転換点(Tipping Point)が訪れる見通しであることを語られました。
  • 日本における遺伝子組み換え(GMO)表示システムが脆弱であるがゆえに、またのGMOに対する消費者の認識の低いがゆえに、日本がGMOのダンピング市場になる やがてこの流れが加速するだろう というのもアメリカの消費者によって拒否されたGMOが日本市場に回されるだろうからという残念な予測も明らかにされました。
  • GMOに関しては世界的に情報工作が行なわれており、政府やバイオテクノロジー企業によってそれが広められている。一般人は何が真実であり、何が宣伝なのか、なかなか見極めができないという状況になっている。そのため私たちはバイオテクノロジー業界のキャンペーンのやり方をしっかりと記録し、いかに科学者たちが情報工作の攻勢に加わっているのか、事実を歪め、いろいろな問題を隠ぺいしている点が伝えられました。


その後 質疑に移りましたが主要新聞社の記者からの質問では、GMOの健康被害に関するエビデンスとなる研究論文を教えてほしいという要望に対しては、「GMO に関する科学的エビデンスを集めた研究論文集「GMO Myths and Truths」がよくまとまっているということでリンクの紹介がありました。」

質疑応答の 最後に、今回のジェフリー監督の招聘の呼びかけ人でもあるオルタ―・トレード・ジャパン(ATJ)の印鑰智哉さんが記者会見の締めくくりとしてお話しをされましたが大事なポイントに言及されていますので紹介します。

印鑰智哉

「このグラフを見ると日本に輸入されているNON GMOのとうもろこしの数量が激減しているのがわかります。つまり日本では益々遺伝子組み換えばかりになっているのですね。
このグラフはある日本の商社 そこがかなりNON GMOのとうもろこしを引き受けている商社ですが
2007年から2013年の間で半分以下ですね。今や飼料用とうもろこし輸入ではこの商社の非遺伝子組み換えトウモロコシ輸入が激減していることがわかります。
また日本の発泡酒の糖類には去年から遺伝子組み換えの原料を使い始めていますのでそういった傾向は続いていると思います。
ジェフリー監督が指摘しましたように 日本が、どんどんダンピングサイトになっている。
アメリカで拒否されたもの、欧州で拒否されたものが、日本に来るという構造が既に起きている。
それはなぜかというと 日本人の中に、GMOを避けなければいけない。食べてはいけないという。意識がなく、知らないで食べている。その意味でも、メディアの皆様にも是非このGMOの問題を記事を書いて啓発していただければと思います。

ジェフリー監督への由井寅子代表からのインタビュー

この共同記者会見に先立ち、ジェフリー・S・スミス監督、印鑰智哉さんに、日本豊受自然農 由井寅子代表が、GMO問題に関するインタビューを実施しました。様々な重要なGMOに関する情報を公開いただきました。日本ではGMO作物のタンパク質が残っていない食品に関しては安全であり表示 義務がないとしていますが、GMO由来の油などの健康リスクは何かといった話や、また日本には大量に家畜用飼料としてGMOコーン、大豆などが輸入されていますが、これらGMO飼料を食べた家畜の肉を食べる事でどのような健康リスクがあるかという点、また、GMO食品にはグリホサートという除草剤「ラウンドアップ」の主成分が残留し、植物におけるミネラル吸収や人間・動物の腸でのミネラル吸収を阻害し健康に重大な影響を与えること。これは日本ではGMO作物以外の野菜にも散布されています。また、GMO飼料の家畜の肉から見つかっている謎の生命体やBt毒素、ミツバチ大量死との関係、NON GMOに新作の映画の話題にいたるまで、話がGMO問題の本質に迫る様々な話題に及びました。

この内容の一部は、速報として日本豊受自然農がカレッジ・オブ・ホリスティック・ホメオパシー(CHhom)と共同で行っている各地での「遺伝子組み換えルーレット」自主上映会の際にも一部を放映紹介している他、4月10日(日)に京都リサーチパーク、バズホールで開催される日本豊受自然農主催の「第5回 日本の農業と食シンポジウム」(医食農健 ー人が健康に生きるためにー )でもそのインタビューの模様が放映され、GMO問題に取り組んでいるオルタ―・トレード・ジャパンの印鑰智哉さんにも当日講演をいただきます。また、日本豊受自然農が実行委員として参加している東京・代々木公園で開催されますアースデイ東京2016でも、4月23日(土)の17:30(予定)より、オフィシャルトークテントで、「遺伝子組み換えルーレット」上映会及びマクロビオティック料理教室と持続可能な食の学校を主宰するルナ・オーガニック・インスティチュートの安田美絵代表、由井寅子代表も参加してのアフタートークイベントも開催します。今後も日本豊受自然農としてもGMOの問題に関する大事な情報を共有化していきたいと思います。

オルター・トレード・ジャパン 政策室室長 印鑰智哉

アジア太平洋資料センター(PARC, 1986~1991) 、ブラジル社会経済分析研究所(IBASE, 1991-1994)、Frontier Internship in Mission, (FIM, Geneva, 1994)、JCA-NET事務局長(1997-2001) 、VAWW-NETの立ち上げ支援、Greenpeace(2001-2010)、ピープルズ・プラン21世紀アーカイブプロジェクトよびかけ(2011/02)、オルター・トレード・ジャパン(ATJ) DigitalMedia(2011/03~2013/09)、オルター・トレード・ジャパン(ATJ)政策室室長 (2013/09~)、映画「遺伝子組み換えルーレット」日本語版の制作に取り組む(2015年)UNCED92(リオサ ミッ ト)、Rio+20にも参加。遺伝子組み換え企業の動向、それへのオルタナティブとしてのアグロエコロジーを中心に追う。

共同記者会見ではメディアとして出席した雑誌「豊受」編集部からもジェフリー監督に質問を行いました。

「アメリカでは表示義務がない代わりに、ジェフリー監督が講演の中で紹介したような全国を網羅する「nongmoshoppingguide」などのインターネットサイトが整備されており、消費者がNON GMOを選ぼうとした場合に、この買いもの行動をサポートするようなシステムも整っているが、日本ではこういったインターネットガイドをつくる動きはないのか」という質問に対して、ジェフリー監督でなく「遺伝子組み換えルーレット」日本語版制作の発起人であり今回のジェフリー監督の招聘の呼びかけ人でもあるオルタ―・トレード・ジャパンの印鑰智哉さんが回答されました。そして、まだ、残念ながらに日本では全国レベルのそのようなNON GMOショッピングガイドをつくろうとする動きは顕在化していない点が伝えられました。

また、印鑰智哉さんは、日本の消費者や農家がGMOの問題に無関心で、GMOの食品や飼料、グリホサート入りのラウンドアップなどの農薬、それらがかかったオーガニックでない野菜を買い続けることは、本来滅びなければならないバイオテック企業を日本やアジア諸国が資金的に支えることになるという世界にとって最悪のシナリオについての危惧も記者会見とは別ですがジェフリー監督の京都講演の際にお話を伺いました。

つまり、GMOの問題に日本人が無関心でいることが、滅ぶべきバイオテック企業を支えるということになり、これは日本人や日本の動物たちの健康問題にとどまらず、またグリフォサートを使う日本の農業従事者の健康問題や日本の土壌環境を悪くするという日本のみの問題にとどまらず、世界の人々の健康やこれら生まれる生命、世界の農民や畜産家、そして生物多様性にまでも、大変悪い影響を与える構造になっているということを、日本人がまず深く理解しなければならないと感じました。

日本豊受自然農では、人の体に入る食は まず第一に健康を害さない安心安全なもの、そして健康をつくる栄養ミネラルが豊富なものを提供という方針で、従来から自然な種での農業にこだわり、NON GMOやF1(雄性不稔)など不自然な種を使わず、自家採種、在来種、固定種での無農薬、無化学肥料、土づくりを大切にする ホメオパシーやハーブ、乳酸菌、麹菌、ミミズやカブトムシの幼虫などを使った農業を行ってきましたが、今回の映画「遺伝子組み換えルーレット」をスタッフ全員で観て、改めてGMO問題の深刻さを認識し直しました。

豊受オーガニクスの農場もショップもレストランも、NON GMOへ宣言をして、またNON GMOのサービスをお届けできるよう、またNON GMOの自主ラベルをつくって、対応していきます。またこの問題に多くの方に関心を持っていただくために、上映会、シンポジウム、イベント、ホームページなどでを通じてのGMO問題の情報公開にも取り組んでいきます。

まず、多くの方にDVD上映会やイベントなどに参加してもらって、このGMO問題の本質を知ってもらうこと、口コミ、SNS、またDVDを購入する、また自主上映会を開催するなどで、1人からでも伝えていく。また、買い物を行う消費者としての権利として、GMOの商品を買わない、NON GMOの選択をしていく、そして、そのことが、農家や酪農家がGMOの種や飼料を使わない、また農家はグリホサートを含む農薬は使わない。そして食品供給者は、NON GMOがわかるように、欧州のような正確なNON GMO自主表示を行っていき、日本をNON GMOの社会に変えていく原動力ともなります。賛同いただける方はNON GMOの活動にぜひ加わっていただきますようご協力宜しくお願いいたします。

「遺伝子組み換えルーレット」公式ホームページ ※公開終了
日本豊受自然農関連の上映会・イベント情報 ※公開終了

3/19札幌 14:30~ 由井寅子代表ライブ講演会
引き続き、「遺伝子組み換えルーレット」上映会
3/21東京、名古屋、大阪、福岡 同時開催 10:30~
「子宮頸がんワクチン被害」、「土と腸は同じ」由井代表講演上映に続き、11時半ごろから「遺伝子組み換えルーレット」上映会とジェフリー監督インタビューのダイジェストを放映します。
3/26福岡 10:00~ 由井寅子代表ライブ講演&上映会
10時から「土と腸は同じ」由井代表講演上映に続き、11時ごろから「遺伝子組み換えルーレット」上映会、13時から由井寅子代表ライブ講演会 
講演後「子宮頸がんワクチン被害」と監督インタビューダイジェストも上映予定
4/3札幌 東京、名古屋、大阪、福岡 同時開催 13:30~
10時からの由井寅子代表講演
4/9名古屋 14:30~ 由井寅子代表ライブ講演会
引き続き、「遺伝子組み換えルーレット」上映会
4/10第5回 日本の農業と食シンポジウム
午前、ジェフリー監督のインタビュー上映と印鑰智哉さん講演、パネルディスカッション予定
由井寅子代表基調講演、安保徹医学博士、女優杉田かおるさん、JA函南東部 片野組合長、
豊受クリニック 高野弘之院長、フラワーエッセンス療法家 東昭史さん他登壇
4/23アースデイ東京2016 「遺伝子組み換えルーレット」上映会&アフタートークイベント
安田美絵さん 由井寅子代表他参加
4/23ロンドン 上映会決定!
4/29大阪 10:00~ 由井寅子代表ライブ&上映会
「子宮頸がんワクチン被害」、「土と腸は同じ」由井代表講演上映に続き、11時ごろから「遺伝子組み換えルーレット」上映会 及びジェフリー監督インタビューダイジェスト上映、14時30分から由井寅子代表ライブ講演会
豊受オーガニックショップ&レストラン、また、日本豊受自然農の自然農の野菜や食品、化粧品などを扱っているカレッジ・オブ・ホリスティック・ホメオパシー(CHhom)の直営ショップ通販でも、「遺伝子組み換えルーレット」DVD販売開始します。
この他の全国の上映会やイベント情報は「遺伝子組み換えルーレット」公式ホームページに掲載されています。「遺伝子組み換えルーレット」上映会のみの参加も可能です。
映画「遺伝子組み換えルーレット」サイト※公開終了

「遺伝子組み換えルーレット」上映会参加者などの感想

昨年のアースデイ東京2015の模様

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