農業生産法人 日本豊受自然農㈱(本社:静岡県函南町 代表 由井寅子)は、5月24日~27日の4日間、東京ビッグサイトで開催された展示会で「2016ニュー環境展」に初出展した。ブースでは「自然農が広がれば、自然な環境が必ず戻る」のメッセージが掲げられ、「自然な種、自然な農業が健康と環境を守る(「医・食・農・健」連携)」のビジョンと取り組みを紹介した。若者が農業にすすんで就業するようになり、日本の農業と地方が復興できるようにと特に力を入れている6次産業化の取り組みでは、第1次産業「自然農」、第2次産業「加工業」(豆腐、味噌、醤油から酵素飲料、化粧品などの自社加工)、第3次産業は①「和食オーガニクスレストラン」、②「オーガニクスモール&ショップ」、③「健康&教育事業」などの展開を映像作品で紹介。自然農の農家を起点に都会の最終消費者と農家が直接結びつく1次+2次+3次=6次産業化への取り組みをブースでくり返し上映した。
また、放置竹林の問題が全国で大きな問題になっているが、竹の未利用な可能性をひき出し、竹を中心とした六次産業化で地域を活性化するビジネスモデルを開発・提案する東京大学などとの共同出展となった。
ブースでは、これらの技術を活用し、竹水を加えた生草花シリーズの化粧水や乳液などのお試しやサンプル配布も行われ、今後は、自社生産の化粧品や歯磨き粉、クリームなどにも、この竹水を加えていく検討を行っている。

加工食品や飲料への応用例も可能となる。日本豊受自然農の自社農場で栽培された農林61号の小麦を原材料に使った全粒粉のクッキーやパンに竹粉を入れて来場者に試食頂いた。
また、赤紫蘇サイダー“しそッシュ”の試飲も好評だった。函南農場で栽培された赤紫蘇に、4つのハーブ・マザーティンクチャー(ハイペリカム、アーティカプラット(エゾイラクサ、タラクシカム(西洋たんぽぽ)、エキネシア)と36種ミネラルのホメオパシーレメディーを加えたもの暑気あふれる会場で頭と体にホッと一息の清涼感を感じさせてくれると大好評で、合わせて70種類の野菜、穀類、果実、海草などを乳酸菌で3年間発酵させてつくられた“ほめ補酵素”の試飲も好評だった。
ハーブではカレンデュラ。日本の薬草では芍薬(しゃくやく)。野菜ではキャベツ、在来種人参黒田五寸やその花や葉、茎の部分などを固液分離したサンプルとして展示され、中には液体のサンプルの瓶を開けて作物の特徴ある香りを楽しまれる方もおられた。

完成したばかりの豊受自然農の企業リーフレットや、4月に行われた京都での「第5回日本の農業と食シンポジウム」(環境農業新聞特集号)、神社専門誌『Wago(和合)』19号に掲載された由井寅子代表のインタビュー記事「自然農で日本は甦る」なども配布された。



また、代表が行っている自然療法ホメオパシーやインナーチャイルド癒し、レメディー、ハーブ、フラワーエッセンスなどについて質問される方も目立った。
特に地球レベルの環境問題の根本解決には、自然型農業が普及し、農業と食、ライフスタイルから変えていく改革が必要で「農業と食が変わらなければ環境問題の根本改善はない」という訴えにも頷いて納得される方も多かった。
OMソーラーと共同で開発・建築した洞爺及び函南農場の自然エネルギー住宅に興味を持つ人も多く、太陽熱と地熱を穀物乾燥、冷暖房、電気に活かした木造のエネルギー建築や、ホメオパシーのレメディーやヘンプ(麻)などで壁材にシックハウス対応を施した自然建築が記事となったOMソーラーの会報誌「きづき」の取材記事のコピーを持ちかえる人も目立った。
また、今後 農業を取組みたいと考えておられる方も多く、「アグリビジネス新規参入の判断と手引き ~異業種からの参入事例集/ビジネス性の考察と将来展望~」に代表が執筆した「自然化粧品事業からの農業参入」のコピーへの要望も多かったため、今回、代表執筆部分は公開した。
【考察】
もともとのニュー環境展は、1992年に「廃棄物処理展」として初開催された背景もあり、廃棄物処理、リサイクル、エネルギー機器、CO2排出規制対策、バイオマスなどの環境技術、資材、ノウハウなどの実用的な展示が中心の展示会となっており、こういった経緯からか、アグロエコロジーなど農業から環境問題の根本原因を見つめ食、ライフスタイルなども含めて現代人の生き方から見直していくような日本豊受自然農のメッセージ「自然農が広がれば、自然な環境が必ず戻る」といった環境問題の根本解決まで踏み込んだメッセージを伝える展示はあまりなかった。世界の様々な環境問題を解決していくキーワードとして「アグロエコロジー」が今、注目され、自然型農業起点で環境問題を解決していこうという国際的潮流が生まれている中で、「ニュー環境展」も、「環境展」を冠していてCO2排出規制、地球温暖化防止を看板にしており、農林省も後援に入っているだけに、農業と食の分野での環境問題解決についての出展なども本来は企画段階で検討されてもよいかもしれない。そのためか来場者は女性や、子育てを行うお母さんたちの参加は少なかった。しかし日本豊受自然農のブースで足を止める方は女性の方は目立った。来年以降は農業、食関連で環境問題解決を提案する出展やプレゼンテーションが「ニュー環境展」でも増えることを期待したい。
日本列島は海に囲まれた火山国、森林国であり、農業に適した良質な土壌にとても恵まれている。国民の食糧で自給するのに十分なポテンシャルがある国土があるにも関わらず、GHQの占領政策や、戦後の農業、土地、経済政策の影響で、日本の食糧自給率は急低下してしまい、大量の食を海外からの輸入に依存する国となってしまった。また農業の担い手人口が減少、さらに高齢化し、10、20年後には日本の農業の担い手がいなくなるという大変深刻な事態となっているが、農業は国の礎であり、食は国の安全保障の要である。未来へ日本が尊厳ある国として、また国民の健康を守るためにも、日本の農業を復興し、日本を復興することが日本豊受自然農の願いです。
さらに健康に懸念のある遺伝子組み換え生物(GMO)由来の食糧&飼料や、ポストハーベスト農薬が使用された農作物での健康被害も表面化してきており、欧州やロシアでは既にNON GMO、アメリカでも市民、そして食品業界もNON GMO選択へと転換する中、日本ではこれらの情報をメディアが報道しない為、これらGMOの健康被害に対する認識が大変遅れている。さらに国内農業でも、農薬、化学肥料の使用がまだ当たり前であり、野菜などはF1雄性不稔など、種とりができない種子が9割とも言われ、GMOに加え、オーガニックな食の安全に対する認識も欧米に比べ大変遅れているのが現状。
遠く離れた国から化石燃料を使って大量の食糧を日本へ運搬するビジネスモデル自体にも、二酸化炭素排出を増やし、カーボンオフセット推進の視点からも見直されるべきであろう。
南米アマゾンなどでは日本向けの遺伝子組み換え大豆やコーンなどの栽培のために熱帯雨林が大規模に伐採され農地となり、原住民は土地を追われ、アルゼンチンなどでも、遺伝子組み換え作物と同時に使われるグリホサートの大量空中散布による様々な健康被害や出生異常や、農薬、化学肥料の大量投入による土壌の劣化や化学物質による汚染、さらに生物多様性へのマイナスの影響も深刻である。
今のように、日本人が安易に、遺伝子組み換えの種を使って農薬、化学肥料を大量に土に入れ農産物や加工品、飼料などを今のように輸入し続け、食べ続けるなら、アグロエコロジーの視点からも、この問題は日本人の健康被害だけの問題にとどまらないことを認識すべきである。南米などGMOの工業型農業を強いられていている地域の農民や住民の健康や、遺伝子組み換えの飼料で健康被害を受けている動物たちにも、日本やアジアが無自覚、無関心でGMOを購入し続けることで、大きなダメージと悪影響を与えている。NON GMOやオーガニックへの日本での関心はまだまだ欧米に比べると遥かに低く、この状況を改善するためには、まず農業や食についての大切な事実を知らせていくことが優先課題ではないだろうか。
特に自然農、オーガニック、NON GMOなどの事実や問題点を告知する活動は、一過性のブームで終わってはならない。そのため、日本豊受自然農では震災の翌年2012年から「日本の農業と食シンポジウム」の毎春主催し開催しきた。米国でのGMOによる健康被害を取材したドキュメタリー映画「遺伝子組み換えルーレット」上映会の継続開催(次回は6月12日(日)17:30実施)、また会員には会報誌などを通して、自然な種、自然な農業の重要性、農薬、化学肥料、添加物などの害などから生命を守るために大切な情報を伝えていく。こういった地道な活動を通じて1人でも多くの人が自然な種や自然農の大切さに気づいて、日本でもさらに多くの方が自然農や家庭菜園を始め、買い物でも自然農 NON GMOで 安全で栄養あふれる食を消費者が選ぶ時代の到来を願い、地球環境問題を解決につながるように地道な普及活動を展開していく。