由井寅子代表が農家の立場から発言!(3/22 ゲノム編集作物の規制と表示についての意見交換会)
- 2021/03/25
「食と農から生物多様性を考える市民ネットワーク」が主催する「ゲノム編集作物の規制と表示についての意見交換会」が、3月22日(月)13時半から2時間、参議院会館101会議室で関係省庁(厚労省、農林水産省、環境省、消費者庁 約10名)をまじえ、実会場、オンライン視聴含め80名程度の参加で行われ、日本豊受自然農からも、実会場で由井寅子代表が参加、挙手し質問・意見を農家の立場から行いました。またオンラインでもスタッフが参加しました。
※「食と農から生物多様性を考える市民ネットワーク」は、日本消費者連盟顧問で遺伝子組み換え食品はいらない!キャンペーン代表の天笠啓祐さんと名古屋大学を退官された分子生物学者の河田昌東さんの2人が共同代表をつとめる団体。
意見交換会では、主催者から事前に準備された11の質問を質問していき、関係省庁がそのその1つ1つ回答、さらにその回答内容について、主催団体の天笠さん、河田さん、司会の原さんが突っ込み、会場、オンライン視聴者の質問と意見がそれに重ねる形で進行されました。
2103ゲノム編集GABAトマトの届け出受理についての質問状(食農市民ネット)-1
↓↓↓ 全編動画が公開されました!
https://www.youtube.com/watch?v=qFQRESt9trQ
意見交換会を通じて明らかになったことは、厚労省、農林水産省がサナテックシード社のGABA高濃度トマトを安全と判断して認めたが、遺伝子編集された様々な安全リスクが未検討で(たとえば、当初組み込んだ抗生物質耐性遺伝子を完全に除去できたのか? オフターゲットは本当にないのか? 異常タンパク質は本当に作られていないのか?など)、十分な安全確認がなされていないことがわかった。また、安全と判断した根拠等についても、国民の健康や食の安全、生物多様性を守るために必要な情報であるにも関わらず、企業秘密、知的財産権をたてに十分な情報開示がなされていない問題点なども明らかになり、ゲノム編集については海外の科学者たちから安全性について様々な懸念が危惧されている点も主催者から紹介された。1昨年秋、日本の厚労省の審議会が「ゲノム編集は遺伝子組み換えと異なる」として、安全審査を求めなくてよいと判断し、遺伝子組み換え作物のような慎重な安全審査や表示義務もなく、届出だけで、日本では栽培・流通できることになっていることが大きな問題であることが浮き彫りになりました。
意見交換会の中で、会場からも質問、意見が求められ、由井代表も手を挙げ、質疑に参加しました。ゲノム編集作物であるGABA高蓄積トマトを食べたときの健康への影響、安全性は十分調査されたかについて質問し、自然農、自家採種でトマトを栽培する農家の立場から、長い年月をかけ大自然に育まれて今ある在来種の自然なトマトの種(遺伝子)が、人為的に不自然に遺伝子操作されたゲノム編集のGABA高蓄積トマトの遺伝子により汚染されないようにと、自然農の農家からの率直な要望を伝えました。特に、サナテックシード社により、ゲノム編集された不自然なトマト苗が無償配布されると、家庭菜園用では、どこで植えられるかわからないので、農家が気づかないうちに畑でゲノム編集された不自然な遺伝子と交雑したりすると取り返しがつかない、まだ国際的にも安全性にも多くの疑義が指摘されているゲノム編集のGABA高蓄積トマトの無償配布を是非ともやめていただきたい、また、育種権者の権利ばかり保護するのではなく、農家の在来種の自然な種(遺伝資源)をぜひ守ってほしい点を真摯に農林省の担当者に訴えました。
会議には、ゲノム編集GABA高蓄積トマトを開発、配布を予定する当事者であるサナテックシード社が、主催者からの出席要請にも関わらず、意見交換会を欠席し、文書1枚で回答をよこすだけと消費者や農家に誠意の感じられない対応をとりました。
これに対しオンライン視聴者からは「明日の子供達と明日の地球の為に」という企業のキャッチフレーズを同社が掲げるなら、それに相応しく子供たちや地球のためにも今回出席してしっかりと消費者側の不安にも向き合ってほしかったというような意見もみられました。
意見交換会の内容的には、主催者からの質問も良く練られており、各省庁の回答に対しても、その問題点をきっちり指摘し、由井代表をはじめ参加者からも大事な問題点を指摘する質問、意見も相次ぎ、時間は足りませんでしたが、ゲノム編集の安全性に関する問題点を浮き彫りになった大変有意義な意見交換会になりました。
時間不足で紹介できなかったオンラインの意見、質問を含めて詳細なレポートは主催者がまとめたものを日本消費者連盟 遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンホームページなどに後日公開する予定。
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<補足資料>これまでのゲノム編集技術関連の経緯や現状、その問題点も含めて関連情報
CRISPR-CASを使ったゲノム編集の技術は、遺伝子破壊技術であり、オフターゲットと言い、狙った遺伝子以外の遺伝子を破壊してしまうことが頻発したり、破壊した遺伝子の周囲で大規模な遺伝子変異が起きる可能性が指摘されている、遺伝子組み換え技術と同様に未熟な技術であるということです。
そのような未熟な技術であるゲノム編集を使って作られた遺伝子異常作物と自然の作物との交雑による、異常遺伝子汚染による生態系や生物多様性への影響、さらに遺伝子異常作物を食べることによる人や動物への健康被害が懸念されるなど、世界の多くの科学者、消費者、農民などが、商用化に反対している中で、1昨年秋、厚労省の審議会が「ゲノム編集は遺伝子組み換えと異なる」として、安全審査を求めなくてよいという判断を行いましたが、これはEUなど世界の多くの国が「ゲノム編集は遺伝子組み換えと同等、またそれ以上のリスクがある」として、栽培や流通、商用化を厳しく規制しているトレンドに反するもので、安全よりビジネスを優先した米国や日本の判断は、今後大きな健康被害や環境汚染につながる恐れもあり危惧されます。
この政府の決定もあり、昨年12月11日に、日本で最初にゲノム編集食品として、筑波大学が開発し、大学発のベンチャー企業が売り出すサナテックシード社のGABA高蓄積トマトが農水省、厚労省への届け出が出され、遺伝子組み換え生物では求められる環境影響評価や食品や飼料としての安全審査もなしに受理され、市場流通が可能になりました。
https://www.mhlw.go.jp/content/000704532.pdf
世界ではゲノム編集作物は、米カリクスト社が開発した高オイレン酸大豆しか一般栽培・流通をしていませんので、世界で2番目に商用化されるゲノム作物・食品となります。EUなど多くの国では、ゲノム編集は、遺伝子組み換えとおなじく「生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書」に基づいた生態系への安全性調査、食品・飼料としての安全審査などが求められます。
日本ではサナテックシード社のGABA高蓄積トマトが、この安全審査なしに届出だけで流通・栽培が可能になったことに対し、国内外の科学者、消費者、農民から危惧する声があがっています。
※由井代表がこの問題についての意見をYouTubeへアップしています。
https://www.youtube.com/watch?v=DU9qAKF-hDE
更に、昨年12月、サナテックシード社は、GABA高蓄積トマト苗を家庭菜園用に無償供給するキャンペーンを打ち、数千人が応募、この春から無償配布が予定されております。
これに対し、「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」が「ゲノム編集食品に関する公開質問状」を送付し、厚生労働省から昨年12月22日の以下の回答がありました。
https://www.gmo-iranai.org/?p=3219
また、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンと日本消費者連盟の呼びかけで、12月23日に、サナテックシード社の本社前で緊急抗議行動が行われ、同日、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンが発起人となり「ゲノム編集高GABAトマト苗の配布中止を求める署名」がスタートし、日本豊受自然農もこの署名活動を応援しています。
署名はこちらから↓
配らないで!植えないで!ゲノム編集高GABAトマト苗
http://chng.it/YgMRCMXTjy
3月1日には、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンが大手食品メーカー48社を対象に行ったゲノム編集食品の取り扱いに関しての公開質問状のアンケートにつき、「ゲノム編集食品に戸惑う食品メーカー」と題しプレスリリースが公開されました。
https://nishoren.net/new-information/14136
3月5日締め切りの農林水産省のパブリックコメント「ゲノム編集飼料及び飼料添加物の飼料安全上の取扱いに係る意見・情報の募集について」 日本豊受自然農として以下の意見を提出しています。
https://toyouke.com/blog/16299.html
また、ゲノム編集作物は遺伝子組み換え作物と違い、安全性審査も表示も義務付けられておらず、今のままでは生産者も知らずに栽培し、そのまま流通して消費者も知らないうちに食べさせられてしまいます。日本豊受自然農では、「食と農から生物多様性を考える市民ネットワーク」、「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」、「日本消費者連盟」や印鑰 智哉さんが呼びかけている、「種子や苗に遺伝子組み換えやゲノム編集などの遺伝子操作の表示を求める署名」活動を応援しています。
↓↓↓↓
https://www.gmo-iranai.org/?p=3449
■署名用紙(PDF) ※印刷してご使用ください。
■オンライン署名はこちらから ※紙かオンラインのどちらかで署名が可能です。
(第一次集約2021年6月末、第二次集約2021年11月末)
・日本消費者連盟 種苗への遺伝子操作の表示を求める署名記者会見(2021.3.1)
↓↓↓↓
https://www.youtube.com/watch?v=Sh0eiDor1fs
3月19日には、「第15回GMOフリーゾーン全国交流会 in滋賀」が200名以上が参加し開催されました。交流会では、元滋賀県知事の嘉田参議院議員が来賓講演、天笠氏がこのゲノム編集の問題を中心に基調講演を行いました。静岡と北海道の農場をGMOフリーゾーンに登録している日本豊受自然農もオンラインで参加し集会の最後に参加者一同により、宣言が採択され、遺伝子組み換え作物だけでなく、ゲノム編集食品を拒否し、作らせない、流通させない、食べない取り組みを日本中に広げていくことが宣言されました。
日本豊受自然農が販売する食品や、豊受オーガニックスショップが扱う商品、POP、商品紹介ページなどに自主表示として「ゲノム編集などの遺伝子操作をしていません」ラベルの使用を検討しています。
★訂正★ 今回 天笠先生からのご指摘で意見交換会の中でわかったこと
農業法人 日本豊受自然農株式会社 代表 由井寅子より
ゲノム編集作物は、遺伝子異常が100%子孫に伝わると言いましたが、これは正確な表現でなく間違いでした。
日本消費者連盟様が日本語バージョンを公開されているYouTube『遺伝子ドライブ by Save Our Seeds』の映画を見て、そこで紹介されていたゲノム編集技術を用いて作られた遺伝子ドライブによって、遺伝子異常が100%子孫に伝わると説明している箇所を、ゲノム編集することで遺伝子異常が100%子孫に伝わると勘違いしてしまったことによります。誤った情報をお伝えしてしまったことをここでお詫び申し上げます。大変申しわけわりませんでした。
しかし、100%子孫が変わっていき、種全体の遺伝子を書き換えてしまう遺伝子ドライブではないとはいえ、今回、予定通りに、ゲノム編集された高GABA蓄積トマトの苗が配布されると、在来種の自然なトマトとのタネの自然交配によって、50%の確率で遺伝子汚染を引き起こします。1代限りで自殺するようなF1種子(ターミネート種子)にしない限り、自生したそのトマトの植物自体を全数駆除していかない限り、自然な在来種のタネへの遺伝子汚染が引き起こされる可能性もあります。そして見た目だけでわからないため農家がそれを判別して駆除することも困難です。
つまり、従来の遺伝子組み換え作物と同様に、このようにゲノム編集種子を自然界に放出すること自体が、在来種の自然な種子への取り返しのつかない遺伝子汚染を引き起こしてしまう可能性もあります。 また、それ以前の問題として、遺伝子が不自然にゲノム編集されたGABA高蓄積トマト自体を食べて安全かどうかについても、動物実験含め適切な安全検査も行われていません。
ゲノム編集生物については、生態系、食の安全への懸念が拭い去れない現状では、予防原則に従い、まず遺伝子組み換え作物に準じた安全性の徹底的な検証が行われるべきと考えます。また、農家、消費者が、それがゲノム編集されたものとわかるように、種子や作物、原材料にもゲノム編集されていることがわかるような表示の義務は最低限必要だと考えます。
今回の交流会に参加しての結論は、サナテックシード社のゲノム編集 GABA高蓄積トマトの苗配布を、ぜひ中止していただきたいという要求については不変です。今後も「遺伝子組み換え食品はいらない!キャンペーン」が推進している「ゲノム編集高GABAトマト苗の配布中止を求める署名」についても協力してまいります。
★関連URLリンク★
印鑰 智哉 3/21 facebookより 「ゲノム編集」魚の問題
https://www.facebook.com/InyakuTomoya/posts/5122553187771470
印鑰 智哉 3/21 facebookより 3月17日の厚労省遺伝子組換え食品等調査会について
https://www.facebook.com/InyakuTomoya/posts/5122299891130133
分子生物学者・河田昌東先生による「ゲノム編集技術に関する基礎学習」報告(東都生協ホームページより)
https://www.tohto-coop.or.jp/action/report/archives/2020/01/post_605.html
【講演】ゲノム編集は何をもたらす 【対談】由井 寅子(日本ホメオパシー医学協会名誉会長)・印鑰 智哉 (世界の食問題研究家)
https://www.youtube.com/watch?v=5wK6CXJkQgc
「食品に含まれるラウンドアップの破壊的影響、そして前代未聞の新GMOによる生存の危機」ジェフリー・スミス監督(遺伝子組み換え問題の専門家)
https://www.youtube.com/watch?v=w3dEKR1w3AQ
「世界におけるGMO・グリホサート問題の現状」印鑰 智哉(世界の食問題研究家)」
https://www.youtube.com/watch?v=AZmZXc7G6wU
「米国食の安全と健康の最新事情」ジェフリー・M・スミス監督への由井寅子大会長インタビュー
https://www.youtube.com/watch?v=joP9BW_-pyM
由井大会長 開会挨拶【日本の農業、食、未来を考えるシンポジウム2020.9.21】
https://www.youtube.com/watch?v=w9FrMWGIpbM
[特別講演]山田正彦先生・原村政樹監督【日本の農業、食、未来を考えるシンポジウム2020.9.21】
https://www.youtube.com/watch?v=hhJfq5Tts5E
種苗法改正反対(由井寅子)
https://www.youtube.com/watch?v=ILVtHe6jqC8
TPP協定などの問題を考えるシンポジウム 山田正彦先生、鈴木宣弘先生 講演会
https://www.youtube.com/watch?v=CpDdbEnhn9Y
「日本の食と農が危ない!―私たちの未来は守れるのか ~命の源の食料とその源の種を守る取り組みを強化しよう~」鈴木宣弘(東京大学農学部教授)
https://www.youtube.com/watch?v=TxRh8wV6ym
有事・災害時にもっとも大事な農と食のシンポジウム「土と腸は大事!」土の土壌菌と人間の腸内細菌は同じだった!(2020年6月7日開催)
https://www.youtube.com/watch?v=gxou1UQNwGM
新型コロちゃんトンデモ注射とは!?(由井寅子)
https://www.youtube.com/watch?v=2ZS4NEjnZco