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種苗法改正案 付帯決議の多さから法案の欠陥が浮き彫りになる

日本の種子を守る会が付帯決議の内容を公開してくれました。
ここから見えてくる矛盾をコメントします。
付帯決議は法律ではないので法的拘束力はありません。
しかし、わずかな審議で強行採決したにも関わらず これだけ付帯決議が多いのはそれだけこの法律が影響を受ける農家や国民への配慮に不足があるからではないしょうか。
少なくとも付帯決議をみれば種苗法改正案の欠陥やなぜこの様な付帯決議をいれないと法案を採決できなかったのか法案の背景にある問題点が見えてきます。
(以下→印でコメントしています)
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(以下 日本の種子を守る会のホームページから 種苗法改正案採決とともに出された付帯決議全文を引用
 →印は 日本豊受自然農 スタッフコメント)
2020年11月17日 衆院農水委員会で「種苗法改正案」可決後に自由民主党、立憲民主党・社民・無所属、公明党、維新の会、国民民主党の5派共同提案で附帯決議の動議が出され、賛成多数で可決されました。
(→12日、17日の質疑と それを完全無視しての数の論理だけでの多数決は 悔しいです 多くの方に実際の国会中継を見てほしいです)
附帯決議内容
近年、我が国の優良な登録品種が海外に流出し、 他国で生産され第三国に輸出される等、我が国からの農林水産物の輸出をはじめ、我が国の農林水産業の発展に支障が生じる事態が発生している。 こうした事態に対処するため、 育成者権の強化を図ることが求められてぃる。 一方で、育成者権の強化が農業経営に与える影響にも十分配慮する必要がある。
(→国内の品種を良くしようという民間でまじめにやっている育成者権や公共の育種権者の強化にはつながっていませんが、グローバル種苗メジャーと提携者からなるグローバル資本の権利強化には配慮しています)
 よって、 政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すベきである。
1 我が国の優良な植物新品種の海外流出の防止を目的とした育成者権の強化が、農業者による登録品種の利用に支障を来したり、農産物生産を停滞させ食料の安定供給を脅かしたりしないよう、種苗が適正価格で安定的に供給されることを旨として施策を講じること。
(→種苗法改正で 自家採種が登録品種で禁止 許諾制となった場合、海外でもいろんな国で起こっているように種の価格が10倍、さらに化学肥料や農薬をセットで買わされ、種苗メジャーは儲かるが、農業は疲弊し、農薬まみれ栄養のない食で 食の安全や国民の健康が損なわれることが懸念されるということ)
2 稲、麦類及び大豆の種苗については、農業者が円滑に入手し利用できることが我が国の食料安全保障上重要であることに鑑み、都道府県と連携してその安定供給を確保するものとし、各都道府県が地域の実情に応じてその果たすベき役割を主体的に判断し、品種の開発、種子の生産・供給体制が整備されるよう、適切な助言を行うこと。
(→まず、主要農産物種子法を既に廃止していて、稲、麦類及び大豆の種苗を公共が育てる予算の後ろ盾をなくしたため既に安定して、多様な在来種を維持してきた日本の稲、麦類及び大豆の種苗を供給することが難しくなっている しかも品種集約を目指させたり、農業競争力強化支援法でこれら公共の知見の民間への提供まで定めているため将来の公共が支えるべきこれらの種苗の安定供給体制が不安であること、さらに、種苗メジャーは、稲、麦類及び大豆のF1種、遺伝子組み換え種、ゲノム編集品種の研究、栽培実用化に力を入れており、化学肥料や農薬とセットで販売される彼らの儲かる品種を日本市場へ輸出、もしくは日本での栽培を狙っている。特に狙われているのは日本の食のコメ、そして大豆、麦は既に種子法廃止で予算的後ろ盾がなく既に公共による種苗の安定供給にも黄信号がともっている)
3 各都道府県が、稲、麦類及び大豆の種子の原種ほ及び原原種ほの設置等を通じて種子の増殖に必要な栽培技術等の種子の生産に係る知見を維持し、これを民間事業者に提供するという役割も担いつつ、都道府県内における稲、麦類及び大豆の種子の生産や供給の状況を的確に把握し、必要な措置を講じることができるよう、環境整備を図ること。
(→2のコメント参照 ※稲、麦、大豆は1農家だけでは、種子の安定供給は困難です 地域、公共での維持が必要です)
4 稲、麦類及び大豆については、品種の純度が完全で優良な種子の供給を確保するため、原原種の採種ほ場では育成者が適切な管理の下で生産した種子又は系統別に保存されている原原種を使用するよう指導すること。
(→2のコメント参照 ※稲、麦、大豆は1農家だけでは、種子の安定供給は困難です 地域、公共での維持が必要です)
5 種苗法に基づき都道府県が行う稲、 麦類及び大豆の種子に関する業務に要する経費については、従前と同様に地方交付税措置を講じること。
(→種子法廃止もそうですが、公共の種苗の安定供給のための予算の後ろ盾がはずされたため、例えば各都道府県で種子条例が32都道府県でつくる限られた都道府県の予算で行わなければならない状況になっているから))
6 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構、都道府県等の試験研究機関が育成した登録品種に関する通常利用権の許諾については、その手続等が有機農業をはじめ農業者の負担になることのないよう、適切に運用するとともに、これらの公的試験研究機関に対してガイドラインを提示する等により、その周知徹底を図ること。
(→許諾制になると、許諾料も、自家採種の許可、種苗の販売も育成権者が持ち、農家にないため、これら許諾料や種苗価格は、海外の例でも民間に移れば高騰している。民間に今後移すという農業競争力強化支援法での取り決めがあるが、民間への移行前にも公共で持っている種子でも、農家の権利が守られるよう念押ししている)
7 農業者が意図せずに、育成者権者の許諾を得ずに登録品種の自家増殖を行い、不利益を被ることを防止するため、農業者に対して、制度見直しの内容について丁寧な説明を行うこと。
(→農家は説明をしっかり受けていないし 今回の法改正で受ける影響を把握していない 特に自分たちが栽培している種苗が登録品種か一般品種かすらわかっていない農家も多い、しかし12月に法施行?以降、知らずに自家採種・自家増殖を登録品種で許可なく行えば、10年以下の懲役、1千万円以下の罰金、農業法人では3億円以下の罰金、共謀罪の対象。全国の農家が知ったらびっくりします。なぜ、農家に詳細も知らせずに法案成立を急ぐのか理解に苦しみます。しかし これはモンサント法とも呼ばれ海外でも同じような法制を種苗メジャーが働きかけているので、より俯瞰的に海外での動きをみれば、今回の法改正の背景にどのような力がはたいているかは明らかです)
8 公的試験研究機関が民問事業者に種苗の生産に関する知見を提供する場合においては、我が国の貴重な知的財産である技術や品種の海外や外国企業への流出を防止するため、適切な契約を締結する等十分留意するよう指導すること。
(→民間にも種苗の知見を提供する前提のため、日本のタネの権利をグローバル種苗メジャーに握られた場合、大変なことになります。そのリスクがあることを示しています。政府は以前、外資の民間企業も提供対象であることを国会で発言しています。そして日本企業といえども中身は外資の提携先だったりします。こういった背景があるため この様な付帯決議の条件がつくわけです)
9 登録品種の種苗の海外流出の防止に当たっては、ホームセンター等の販売員等が意図せずに登録品種の種苗を外国人に販売すること等により不利益を被ることを防止するため、ホームセン夕ー等に対して、 制度見直しの内容について丁寧な説明を行うとともに、国において適切な運用を図ること。
(→要するに 農家の登録品種の自家採種を一律禁止しても種苗の海外流出には、ほとんど意味がない 本来は対策は別にあるのの、日本の農家が種苗の海外流出の原因であるかのように決め付け、今回の法改正を企画している。そもそも法改定のフィロソフィー自体おかしい)
10 新品種の開発は、利用者である農業者の所得や生産性の向上、地域農業の振興につながるベきものであることに鑑み、 我が国において優良な植物新品種が持続的に育成される環境を整備するため、公的試験研究機関による品種開発、及ぴ在来品種の収集・保全を促進すること。また、その着実な実施を確保するため、公的試験研究機関に対し十分な財政支援を行うこと。
(→政府が行っているのが、この真逆。しかし答弁では公共は維持強化とタテマエを答弁。実際は公共種子開発への財政支援はどんどんと減らされている。種子法廃止はそのさいたるもの)
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