スタッフの参加報告 10/26 日本の種子を守る会 院内総会
- 2020/10/28
10月26日 13:30から参議院議員会館 講堂で開催された日本の種子を守る会の院内総会に参加してきました。
報告します。
もし映像記録がシェアされるようでしたら大事な話がいくつもありましたのでそちらをご覧いただければと思いますがつたないですがレポートいたします。
院内総会には臨時国会最中ですが20名近くがこの問題に関心を持つ国会議員の方が参加されました。
残念なことにこのように重要な問題であるにも関わらず国民に情報を伝える使命をもつマスメディアは参加されていませんでした。
ただ市民メディアやジャーナリストの方の参加は目立ちましたので草の根でもいいので今回の内容を伝えてほしいと思いました。
院内総会では、はじめに日本の種子を守る会で活動されている副会長で、かつて全中JAの副会長もされていた萬代宣雄さん(JAしまね (前)相談役)が挨拶されました。
現在、与党議員も含め農家の側の問題を説明し改定案の見直し、慎重審議や付帯事項などそのまま法案が成立すると農家への影響が大きいので、今後農業の現場で混乱が起きないよう配慮をお願いするなど与党を含む国会議員等への正確な情報や農家への影響などの説明活動に取り組んでいる状況が報告されました。
また、パルシステム連合会(前)理事長で種子島でサトウキビ農業に関わられてる日本の種子を守る会の山本伸司幹事長が発表されました。
種苗の海外流出を防止するために今回の法案が必要という政府、農林省の主張やマスコミを使ったキャンペーンに嘘がある点を述べられました。
また種苗法改定の様々な問題点を解説されました。日本の種子を守る会のホームページで公開している種苗法改定関連の情報の活用なども紹介されました。
日本の種子を守る会顧問で元農相の山田正彦弁護士が国会の状況を報告しました。
先日千葉県で種子条例ができ26の道府県で年内に種苗条例ができる見込みを報告されました。また原告となっている種子法廃止の違憲訴訟で種子法廃止はTPPによることを裁判所が認めたことを紹介されました。
特に今回の種苗法改定案では登録品種では例外なく許諾なき一律自家採種・自家増殖が全面禁止になりますが、日本では登録品種が人気で栽培シェアも大きく、米、麦、芋、果実などでは栽培シェアも大きく自家採種・自家増殖している対象となる農家も多く大きな影響がある点を説明されました。
また国会の状況として、11月第1週に衆院農林委員会で審議入り、11月下旬に法案が通る可能性も懸念されるため、大事な問題なので審議入りしないよう、また、来年の通常国会でしっかり審議してもらうよう、地元の国会議員にお願いしてほしい点など訴えられました。また種苗法改定の問題の核心にも触れる映画「タネは誰のもの」の多くの方が視聴されるよう自主上映への協力も訴えられました。
食の問題研究家の印鑰 智哉さんは米の検査企画の見直しが大きな問題である点を指摘し、政府が8月に産地品種銘柄の見直しまで閣議決定しているという極めて大きな問題点を指摘しました。今回は多くの方に問題を知ってもらう好機とらえ地域から取り組みを始め、国政を変えていく運動の重要性を訴えました。
これらの問題の詳細などはぜひ印鑰 智哉さんのブログを参考ください。
食の安全の問題を追及されている安田節子さんは今回の種苗法改正と平行して進められている輸入米の検査基準の大幅な簡素化に触れ今後日米FTA交渉などで大幅な関税削減や輸入枠大幅増になれば、輸入米の大幅流入で日本の米作りに大きな影響を与える動きが進んでいると発表。子法廃の復活、農業競争力強化法の廃止、種苗法改定法の廃案と食糧安全保障の確立を訴えました。これは日本の主食である米すら国内自給ができなくなるというとても大きな問題なので、多くの方にこの問題が共有化できるよう急ぎ情報公開してほしいと感じました。
参加された20名弱の国会議員からも今回の法改正には様々な問題がある点が指摘されました。今回の種苗法改定の問題点と法案阻止に向けたメッセージ発言されました。
質疑応答の部は10人ほどの方が発言され、様々なアイデアが提案され、とても活発で有益な質疑になったのではと思います。日本豊受自然農も、自家採種・自家増殖で在来種の自然農に取り組む農業法人の立場から発言しました。
たとえば私どもでが函南農場で植え付けを行っている小麦「ミナミノカオリ」は登録品種のため、この改定案が成立すると、許諾なしでの自家採種が禁止となります。すべて種子を購入しなければならなくなるため大きなコスト高となります、また販売してもらえなかったり許諾がなければ栽培をあきらめなければなりません。
これまで代々農家が自由に行ってきた自家採種・自家増殖などの種子とりですが、もし違反すると、10年以下の懲役、農業法人だと3億円以下の罰金、そして共謀罪の対象と、これは農家を廃業しなければならないほど重い罰則です。知らずに自家採種しても厳罰に処せられます。これまで農家の当たり前の権利であった自家採種・自家採種がいきなりここまでの罰則で制限されることや罰則の重さは不当である点を訴えました。
そして、登録品種の自家採種・自家増殖を行っている農家が50%にものぼると推定されているのに、農家への告知活動が進んでおらず、ほとんどの農家がこのように大きな影響を受けることさえ知らないことが大きな問題であると思います。
また、タネの問題は、ゲノム編集、遺伝子組み換え、農薬、化学肥料などの問題とも関係しております。また食の安全の問題にもつながります。これらは特にこどもたちの健康にも大きな影響がある問題のため、これは農業だけの問題でない点を伝え、食べる側の市民の皆さんもこれを機会に、もっとタネの問題や食の安全の問題にも関心を持ってほしい点を意見しました。
山田正彦さんからは、この点に関して、農家自身が現在栽培している農作物の多くが実は登録品種であること自体を知らない問題を指摘しました。エゴマや紫蘇など農家が知らずに栽培している品種が実は登録品種だったりする点などを指摘されました。
終了後映画「タネは誰のもの」も上映され、上映後には原村政樹監督の心にしみるトークも伺え、百聞は一見にしかず、多くの方にこの映画を見ていただいて種苗法改定の問題の本質を知っていただきたといと思いました。
ちょうど院内集会と同じ時間に行われていた菅総理の所信表明演説では種苗法改定については一言も触れられなかったそうです。農業については輸出振興のみが強調されたようで残念です。日本はEUなどがすでに輸入禁止をしているゲノム編集種子の栽培を承認したり、世界で規制の進むグリホサートなど農薬の基準を大幅に緩和して、世界の市場がオーガニックへのトレンドの中、逆行しています。輸出振興より先に、国内の農業を立てなおし、食糧自給、食の安全保障を確立することなど、政治家や官僚のにはもっとも優先すべき課題があるのではないかと感じました。
タネの命の根源であり、農業のもっとも大事な部分になります。全国の農家の方、もちろん種苗を育てられている方も、また食の安全ということで、全国民にも納得のいく種苗法改正になるように、十分な検討と審議が尽くされるべきものであり、一部の利権への忖度や圧力によって、農家が代々守り続けてきた種苗の自家採種・自家増殖の権利が一方的に安易に制限されるべきものでないと感じます。
不思議なことに、これだけ重要で争点ある法改正でありながら、マスメディアはほとんど取材、報道もせず、今回の種苗法改定案の農家、市民、国民一般へ情報告知活動も遅れ、国内法を改定しても効果の見込めない海外への種苗の流出のみがマスメディアでは宣伝されて、本当におかしな状況になっていますので、この法案に対する正確な情報の告知が進むことを心から願います。また国会議員さんなどへの陳情、種苗法改定案の廃案を求める署名活動、正確な情報を伝える草の根での告知活動などにもぜひともご協力ください。