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消費者庁遺伝子組換え表示制度に関する検討会に「遺伝子組換え表示制度の提案」を提出しました

平成30年2月15日

消費者庁 食品表示企画課

遺伝子組換え表示制度に関する検討会

事務局 ご担当者様

遺伝子組換え表示制度の提案

 はじめて、お手紙させていただきます。私どもは、静岡県函南町と北海道壮瞥町で、NonGMO在来種での自然型農業(農薬、化学肥料不使用)に取り組んでいる日本豊受自然農(設立2011年)代表の由井寅子と申します。私どもは自然農の作物から加工食品(醤油、味噌、豆腐、豆乳、レトルト食品他)、自然化粧品製造を静岡県で、自社農園農作物を原材料にした和食レストランやショップを東京・世田谷区で行っており、グループで自然型農業を起点にした六次産業化に取り組んでおります。遺伝子組換え表示については大変大事なものと考えており、消費者庁のホームページに公開されている検討会の議事録なども確認しております。今回は、農作物の生産者、食品加工・食品販売の業者、農場レストランのバイヤー、そして一消費者の立場から、遺伝子組換え表示制度について提言させていただきます。

 

日本の遺伝子組換え表示制度についての背景情報と考察

 

これまでの検討会の議事録を拝見しておりまして、確かに食品加工を行うメーカーの立場としては、ラベル表示という限られた面積に、それも個食化など表示可能な面積が小さくなるなか、ラベルの中にGMO由来か、NON GMOかを正確に全て表示していくことには無理があるという主張も理解できます。

一方で、消費者、バイヤー側としては、食品とは体の中に入るものだからこそ、安心安全の確保のために、材料面については、より詳しい情報を知りたい。とりわけ、国際的にも議論のあるGMO由来の原材料を含んでいるかどうかについての正確な情報を知った上で、購入するかどうかの意志決定をしたいというニーズも十分わかります。

特に、欧米などGMOの問題に関心の高い海外からの旅行者からは、私どものレストランのメニューやショップに並んでいる加工品について、この食べ物がオーガニックかどうかに加えて、NON GMOであるかどうかについて聞かれることもあります。東京オリンピックなども控え、海外の方やGMOの問題に関心の高い層の方への対応のためにも、NON GMOかどうかは、食品を供給する側、レストランとして食を供給する側も情報開示が求められる時代が到来しつつあることを感じております。

特に日本では、EU基準とは違って、タンパク質が含有されていないと、GMOでも表示義務のないため、肉や乳製品、卵などについても、飼料に遡ってNON GMOかどうか表示やトレーサビリティーの義務がないため、海外の方から質問を受けることがあります。この点につきましては、最近のWHO関連の研究で、遺伝子組換え作物とセットで除草剤として使用されるグリホサートに発がん性が認められたことが大きなニュースになっており、グリホサート自体の畑への使用を認める認めないでEU議会でも激しい論争になっております。

▼関連記事(↓) 2017年11月26日 EUグリホサートの5年使用延長を承認

http://blog.rederio.jp/archives/3121

グリホサートについてGMOのコーン、菜種、大豆、綿実からつくられる食用油などの加工品、またGMO飼料を食べた家畜の肉や乳製品などにも生態濃縮され高濃度で残留するため、日本でもEUスタンダートのように、タンパク質がふくまれていなくても、食を供給する側には、NON GMOかどうかを情報開示することが消費者の食の安全確保のニーズのために必要ではないかと考えております。油などの加工品や飼料を含めると日本は世界最大のGMO輸入国であるにもかかわらず、表示義務がないため、遺伝子組換え由来の材料を多く食べていることを多くの国民が知らない状況にあります。これは日本の消費者の食の安全(GMO)に関しての意識の低さ、またメディアがこういった情報を取り扱わないことにも問題があると感じております。

実際、アメリカでは、遺伝子組換え表示義務はありませんが、近年は消費者がNON GMOかどうかという点に関心が高いため、消費者団体の要求に合わせ、NON GMOかどうか原材料情報の開示が求められ、これらのNON GMO買い物ガイドに掲載された商品を消費者が選択するという動きが広がっているため、大手食品企業も含め、積極的に自社製品がNON GMOかどうかPRする食品メーカーが増えていると聞いております。

上記のような様々な立場のニーズに適合した消費者政策を考えていくには、遺伝子組換え表示制度においては、ラベル表示のルールだけを論じていても解決できるものではありません。一方、IT革命も進み、インターネットによる情報共有が当たり前の時代となっています。ラベル表示とインターネットでの情報開示を組み合わせれば、情報量に制約されることなく、その材料がNON GMOかどうかの詳細情報を開示できるようになります。

 

これらを踏まえた私どもの提案

 

①   食品販売業者や食品加工業者には、消費者並びにバイヤーからGMOを含有するかどうかの質問を受けた場合、回答する義務を負わせること。GMO由来のものは、EU基準と同じく、たとえタンパク質成分がなくともGMO由来とし、たとえ直接的なGMO由来でないとしても飼料して間接的にGMOを使用しているものであれば、GMO由来とする基準で、インターネットでの情報開示を義務づけることを提案します。

②   ラベル表示では製品全体、個々原材料についても、自社製品が欧州基準でNON GMOを達成している場合にはNON GMOマークをつけてPRできる制度を付け加える。

③   消費者団体や食の安全を監視する団体に、消費者が購入する際の商品がNON GMOかどうか判定できるように、アメリカで行われているように、NON GMO買い物ガイドをつくる企画を提案したい。

以上でございます。国民の健康のために、ぜひご検討をお願いいたします。

農業法人 日本豊受自然農株式会社

代表取締役社長 由井寅子、社員一同

東京事務所Tel03-5797-3371,Fax03-5797-3372,Email info@toyouke.com  https://toyouke.com/

<補足説明>

遺伝子組み換え由来品(GMO)についての安全性について、多くの国で議論があります。以下のGMO Myths and Truthsのリンクを見れば安全性に疑問を呈する多くの学術論文を目にすることができます。

(参考)「GMO Myths and Truths(↓)」http://earthopensource.org/wordpress/downloads/GMO-Myths-and-Truths-edition2.pdf

グリホサートは、抗生物質としての側面もあり、微量でも腸内細菌を殺し、免疫を低下させたり、土壌を荒廃させるリスクや、もともとはキレート剤であり、様々なミネラルを抱え込み、腸から吸収されなくなる健康リスク(ミネラル不足)があることを映画「遺伝子組換えルーレット」のジェフリー・M・スミス監督をインタビューした際に知りました。

ジェフリー・M・スミス監督をインタビュー全文リンク→https://toyouke.com/blog/11836.html

「主要農作物種子法」廃止法案の成立に思うと題して日本豊受自然農のホームページ上、以下のようなコメントを発表しましたが(全文 https://toyouke.com/blog/12901.html)、その中で

「遺伝子組み換え作物は、組み換えた遺伝子部分だけが変化するのではなく、その周囲の遺伝子が大規模に変異してしまいます。そういう意味で遺伝子組み換え技術は未だ未熟な技術なのです。」 (引用ここまで) また、GMO由来の食べ物を食べることで、臓器の遺伝子も変性してしまうというリスクがあるという報告を拝見したこともあります。

(参考)米「Natural New」より遺伝子組換食品は臓器の機能を変えてしまう→https://www.youtube.com/watch?v=aBXQKbGmqSU

1992年のブラジル、リオデジャネイロで開催された地球サミットでは、「人の健康または生態系に重大かつ回復不可能な影響を及ぼすおそれがある事態に対しては、科学的知見に不確実性があったとしても、未然に防止することを基本とする予防原則に立脚しなければならない」という「予防原則」が採択されました。実際、食べることで私たちの体内に取り組む食品については、予防原則が適用されるのが適切ではないでしょうか。確実に安全であると判断されたものでなければ、もし後になって安全性の問題が発覚した場合などは、大きな食品公害として取り返しのつかない過ちを犯してしまうことになります。食の安全についてはEUのように、予防原則に基づき、表示を含めた原材料の情報公開についてもより厳格化、徹底化することが適切と思います。その役割を、消費者である国民の生命の安全を守る役割を担う消費者庁、そして本検討会に期待します。

また、消費者庁については、「消費者の視点から政策全般を監視する組織の実現を目指して、2009年(平成21年)5月に関連法が成立し、同年9月1日に発足した」とウィキペディア(「消費者庁」)に記載がありました。遺伝子組換えの問題は、多くの省庁にまたがる問題であります。「遺伝子組換え食品の安全性に関する審査」は、厚生労働省のホームページから確認しますと、内閣府が管轄する「食品安全委員会」が遺伝子組換え食品の安全性を審査することになっています。「消費者の視点から政策全般を監視する組織」という庁設立の理念に従い、消費者庁が消費者にとっての食の安全性確保のために、内閣府の「食品安全委員会」の遺伝子組換え食品の安全性判断が消費者の利益を守るために適切に下されているかという点についてもしっかりと監視いただき、もし、不適切な判断が行われた場合には、消費者の権利を守るために、消費者庁から適切な処置、対策を講じていただきたいと思います。最後までお読みいただき、ありがとうございます。

※URLリンクの情報もあり、日本豊受自然農ホームページ(https://toyouke.com/)に今回提出の内容を公開させていただきました。