第14回日本の農業と食を考えるシンポジウム開催報告!!
〜食料危機を乗り越える鍵は”豊受式”自然農にあり〜7/6(水)「種から育てよう-オーガニックの野菜のタネの採り方、育て方-」講師:林重孝(はやし しげのり)先生

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「山の日」に寄せて 由井寅子

森林を疎かにする国は滅びる。 

~今こそ官民をあげて生命豊かな広葉樹の森の復興と森林・竹林整備、そして森林の恵みを活かした六次産業の創出を!~

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還暦を超え、最近は自分に対する「行」として、しばしば山に登っています。
7月には、2800mを越える常念岳をはじめ、四国、大分、関西など全国の6つの山に登りました。

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写真は7月 2857mの常念岳への登攀を続ける代表

これら登山を通じて、改めて日本の大自然、素晴らしい山々の魅力に感動しています。山登りをしていると、そこには日本の神話にも登場する八百万の神々がそこにおられるのではないかと感じる神々しい気持ちにもなります。また、一方で、荒れている森林をみたり、日本の林業の惨状を触れると、本当に心が痛みます。

このまま、日本の大切な山を、さらに荒れさせてはいけない。なんとか知恵を使って、これを復興しなければならない。それには、この森林という資源を「自然回帰」の発想で有効活用することで可能なのではないかと思い、今年4月、京都で開催された第6回 日本の農業と食のシンポジウムでも発表したように、5月に日本豊受自然林株式会社を設立し森林復興と森林資源の有効活用をはかる事業を行っていくことにしました。

今回、「山の日」をひかえ、このような私達にとってかけがえのない山々を大切にしていくことが大切と感じ、最近思うことを書かせていただきます。

森の恵みがあってこその自然農
日本豊受自然農では、北海道 洞爺では森林組合から土地を購入させていただいてから12年、静岡 伊豆では6年前から農業生産法人を設立、土地を取得しての自然型農業に組んでいます。その中で、農業というものは森林の恵みもいただいて初めて自然型農業が成り立つものであると最近つくづく感じています。

例えば、日本豊受自然農の田んぼや畑では、化学肥料も有機肥料も使いませんが、土壌菌を活性化させるためにクヌギの落ち葉を麹菌や乳酸菌などで発酵させて堆肥を使います。

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また森林が作り出すミネラルを畑に生かすために奥山のダムの底にたまる粘土も畑にまきます。このクヌギの落ち葉堆肥や森のミネラルなど森林の恵みなしには、自然農は成り立ちません。こういった意味で自然型農業を行っていく上では森林こそ、古来から受け継いだ大切な財産であることに気づきました。

獣害も豊かな森が失われた反動
南伊豆でしかあまり出没していなかった鹿が最近は北伊豆 函南の私どもの畑にも出没するようになり、先日は収穫前にカボチャとサツモイモが鹿の大きな被害に遭いました。イノシシによる被害も毎年目立ちます。

これはオオカミのような天敵が日本の森にいなくなったことも一因かもしれません。しかし、鹿や猪の立場からすると別の原因も大きいように感じます。
というのも多くの生命やその土壌に豊かな生命を育む部分が広葉樹の昔ながらの森に比べ、命の少ない静かなスギやヒノキなど針葉樹植林の森が増えてしまったことも関係しているかと思います。これが、鹿や猪たちの、森での食べ物が少なくなったため、やむを得ず山から降りてきて、かってはあまり出没しなかった地域まで出てきて、農業被害が広がっている構造につながっているのではと思います。これも山林の管理を地域で怠った私達へのしっぺ返しかもしれないと感じています。

自然型林業での6次産業化を実現する必要性
明治以降、特に第二次大戦後、日本では、早く成長し金になる杉、松、ヒノキなど針葉樹の植林が大規模に推進されてきました。これらの林業資源は国家建設や戦後の復興に大きく貢献したことも事実ですが、近年では、国内材に比べ価格が安価な、本来日本の気候風土にそぐわない安い外洋材を海外から大量に輸入する政策をとってきましたこともあり、針葉樹植林中心の日本の林業自体が大きな苦境に立たされています。先日もある方に聞きましたところ50年生の立木のスギの評価額が1本わずか300円、山は、伐採すれば、伐採するだけ赤字といった深刻な状況となっていて、この様な実態が日本の林業の衰退と山林の荒廃に拍車をかけているようです。そして海外では商業伐採による熱帯雨林などの減少という深刻な環境問題を引き起しています。

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伊弉諾神宮の楠と一緒に

しかし、本来、森林には資源(リソース)として様々な価値があったはずです。特に広葉樹の森には、山菜、きのこ、薬樹、果樹、木の精油、またストーブの薪、そして大自然の恵みのミネラル豊富な湧水。その水が海に流れ、魚たちの栄養となっていき、漁業も森から潤っています。私達を健康に幸せにする様々な資源があります。この資源を、各地で伝承されてきたその地の林産物を活かす知恵と私どもの健康産業化へのアイデアから六次産業化を形にすることが、そして豊かな森林資源を活かす内需、自給の発想こそが、日本の森林の問題の解決、そして地球環境問題の解決につながるのではと考えます。
日本豊受自然林では、その取り組みの第1弾として、化学合成の添加物は一切使わない「森林めぐみ茶」や「森林めぐみ香」といった商品を開発、販売をスタートしています。

同様に、最近は中国からのタケノコ輸入が増え、自国のタケノコをあまり採らなくなり、こういった面も含め、手間のかかかる国内の竹林が整備されず、結果、荒れ放題の放置竹林が全国で農地、山林を浸食して大きな問題となっています。

今ではこのやっかいもの扱いされる竹林ですが、実は、竹は日本を代表する植物であり、様々な有用性があることがわかりました。
ということは、この竹の資源としての素晴らしい特性を生かした六次産業化が実現できれば、竹林の整備も、全国で再び進み始めるのではないかと考えました。

そのため、私達は、具体的な竹の新産業創出、六次産業化の取り組みをスタートしています。

実際、乳酸菌発酵をした竹の粉を田畑にいれると土壌改良が進みますので、静岡と北海道の農場で土壌改良材として発酵した竹の粉を導入し、よい成果を生みつつあります。この竹のエキスを化粧品にいれると、お肌にも様々な特長があり、びっくりしています。そのため、化粧水、乳液、ジェル、シャンプーなどにはこの竹のエキスを加えた商品を開発して好評を得ています。また竹にはペットフードや家畜のエサにまぜると整腸作用があり。糞便が臭くなくなります。今、この竹の特性を生かした、食品や飲料、お香の開発にも取り組んでいます。

このように、実際に森林資源から、企業や地域、個人が協力して地域が協力して産業を興していくことが森林の復興にもつながると信じます。そして政府もこのような草の根の六次産業化をサポートする政策をもっと推進してほしいと思います。

 

先日の大分、福岡の集中豪雨被害から感じたこと
7月には、全国講演ツアーで大分、福岡を訪問したのですが、その直前に起こった両県にまたがる集中豪雨の被害映像を見て大変ショックを受けました。
写真からは土石流の現場を覆い尽くす丸太、航空写真から、あちこちで数えられないほどの崖崩れを起こした哀れな山肌に心が痛みました。今回の集中豪雨被害を大きくした中で、国土を守る治水の基本である砂防ダムの完成が遅れたということも大きな原因とは思いますが、それにしてもなぜあれほどに、あちこちの山でがけ崩れが起きたのでしょうか。
航空写真でみますと、これらがけ崩れが集中した現場の森林は針葉樹の森林のようでした。今回もあれほどの大きな被害へ発展した原因の背景には杉などの針葉樹植林と、間伐などの森林管理の不足があるのではないかとも思います。もし広葉樹も混じったかつての里山のような森林であれば、十分根が張っているため、今回のような甚大な被害までは至らなかったのではないかとも感じています。一度植林を行った針葉樹の森は、人の手が入って管理を続けなければ、荒れてしまう。永続的に管理が必要になります。里山のような森も管理が必要ですが、日本の気候に合う、針葉樹から広葉樹の森づくりに、林業政策も含めて舵取りをしなおす必要があるのではと感じます。

衆知を集めて、今こそ防災に強い日本の森林づくりを!
先日ある方から、皮をはぐだけで、針葉樹を枯らすことができ、女性でも簡単に森林の間伐に参加できる「鋸屋式間伐」について教えていただきました。これを応用すると、皮をはがれた杉は立ち枯れするので、重機を使った伐採なしでも比較的容易に間伐が進められるようです。
皮を剥かれて間伐された針葉樹は、立木として枯れるため、その栄養が間伐されなかった成木にいくために、成木が根がはり、また枯れた木の根も残るので伐採により表土が荒れることなく、地盤も維持され、低コストで防災に強い針葉樹の間伐マネジメントができるようです。
また、本来そこの土地に育つ、広葉樹などの樹種にどんぐり、苗などから育てた植林をするとしっかりと根をはった防災にも強い森になることを横浜国大の名誉教授 宮脇昭先生が提唱されています。さらに、東日本大震災の教訓を活かし、地域の防災のためにこの形式の植林での緑の防波堤をつくることを提唱しておられます。
実際、東日本大震災の津波の際にも、昔からの広葉樹も含め他植生の鎮守の森が沿岸の神社を津波被害から守った事実もあります。こういった様々な衆知を集めて、防災の視点から森林整備や広葉樹の植林にも取り組んでいく必要があると感じています。

東日本大震災や各地の集中豪雨での尊い命の犠牲を無駄にすることなく、もう一度、豊かな森林と健康で災害につよい国土を取り戻していくための活動を今こそ始める必要があるのではないでしょうか。

森林こそ、先祖から受けついだ日本繁栄への鍵となる資源であり、今こそ、これを活かした産業化に取り組んでいかなければならないと心から思っています。

山の日を前にこのようなことを感じました。

由井寅子