【在来種 豆知識シリーズ④】「豊受宮重総太大根」「豊受打木源助大根」など豊受在来種の大根たち
- 2017/01/15
函南農場では数種類の在来種の大根を栽培していますが、写真は、その中で現在出荷中の「豊受宮重総太大根」(長細い右側)と「豊受打木源助 大根」(こんもり型の左側)です。
この他先日つけこんだ。たくあん大根や葉大根などの在来種、固定種の大根の栽培にも取り組んでいます。
「豊受宮重総太(みやしげそうぶとり)大根」
江戸時代から栽培が行われ、愛知県清須市春日宮重町原産の伝統野菜の「宮重大根」に近い種の大根です。漬物、煮物、大根おろし、切干大根などにも使えます。今の時期、お鍋やおでんなどにもいいですね。
広く栽培されていた「宮重大根」ですが、純粋種は、病虫害などで既に幻の大根となりましたが、近い品種の「宮重総太大根」は種が守り継がれ、今、函南農場で栽培されています。自然農ですから、葉つき、皮つきの料理や生でいただくことも安心で栄養価も高くおすすめです。
「豊受打木源助(うつぎげんすけ) 大根」(左手に持っているのが打木源助 大根)
宮重系源助総太と練馬系の打木在来種との自然交雑から選抜固定された品種のためこのような名称になったそうです。肉質がとても柔らかく 甘い味なので、おでん、ふろふき、酢あえ、おろし、麹漬けなどにもあった大根です。
「大根と栄養」
実は葉っぱの部分の方が栄養・ミネラルに富んでいますのでぜひご活用ください。大根ではビタミンCは葉には(大根=根)の部分の5倍含まれるとされます。そして、ビタミンのAやEも豊富に含まれています。乾燥させて、お風呂にいれると肩こり、冷え症、腰痛にもいいと言われています。
また、焼き魚などの黒焦げは発がん物質とも言われますが、大根に含まれるオキシターゼはこの発がん物質を分解するので、ガン抑制にも効果があるとされる酵素です。大根はビタミンCやビタミンB2も豊富に含むことから、美肌にもよいようです。デンプンの消化に関わるジアスターゼ(酵素)がふんだんなことから、整腸作用がありるともいわれています。食物繊維やファイトケミカルなども豊富で貧血や骨粗しょう症予防に勧める方もおられたりと、こうやってみてくると、自然農の野菜は本当に「医食同源」だなって思います。
「大根のF1種」
「大根」と聞くと、スーパーなどの店頭に並んでいる 同じようなサイズで形の整ったクローンのような大根をイメージする方も多いかもしれませんが、これがF1種で、いまや市場に出回る野菜の9割以上がF1種とも言われます。豊受は自家採取、在来種、固定種を方針としていますので、形も大きさも不揃いで、いわゆる個性派揃い。
大根のF1種の歴史は戦後、1947年からと比較的浅い。しかし、種とりをする必要もなく、病害虫にも強く、発芽率もよく、収穫も安定していて、しかも見た目もよいF1種の大根は、戦後あっという間に全国に広がっていったそうです。
▼このあたりの大根とF1種のお話は自家採取、在来種、固定種など自然な種に復興している野口種苗の野口勲社長が詳しく書かれています。(↓ご参考ください。)
(→http://noguchiseed.com/hanashi/imamukashi4.html)
以下の写真は沢庵大根 漬け込みの写真です
今、豊受の函南農場では、野菜を責任もってケアし、野菜についての知識を深めていくために各野菜に担当を設けています。黒田五寸人参は、静岡農林大学校を卒業し2年目の深澤さんが、そして、大根たちは、同じく、、静岡農林大学校を卒業し2年目の宮田さんとフレッシュな若者が主担当で育てています。
豊受のお野菜は自然農だからこそ まるごと皮まで 生でも食べられます!
自然な種、発酵など菌たちの力も借りた土づくり、農薬、化学肥料など不使用にもこだわっていますので、皮ごと、そして、葉っぱや花まで野菜をまるごと食べていただけます。
皮というものは人間にとっても植物にとっても、実はデトックスの臓器のようなものですから、有用なミネラルとともに有害なものは皮などに集まります。また、自然農でないと葉には農薬が付着します。
自然農でないと、葉っぱも皮もまるごと食べることが逆に健康に良くなかったりもします。
化学肥料のリスクについての認識はは日本ではとても遅れています。化学肥料など大量の肥料を畑に入れて、作物を大きくするようだと、根が怠け、食物が、肥料をそのまま、養分をためる人間の食用の部分にとりこんでしまいます。しかし、化学肥料を使うと土壌菌の環境もよくなくなり、十分植物にとって固定化されないため、例えば、栄養分の窒素などは発がん性のある硝酸態窒素のまま蓄えられます。このことはたとえ有機と名がついていても、未完熟の有機堆肥を大量にいれて育てる場合や、抗生物質や薬剤づけでオーガニックでない動物の糞などを有機肥料として使う場合なども自然ではありませんので問題もあります。このように、加熱調理しないと逆に健康に悪く、皮を食べない方がよかったりします。これは野菜だけでなく、茶葉やお米のぬかなどでも同じです。
このように自然型農業で肥料に頼らず栽培すると、生で皮ごと、茎、葉、花まで、そのままでも食べられるので、有難いですね。