北海道・洞爺農場 台風10号の被害を受けて
- 2016/09/02
同じ農業を営むものとして、今回大きな被害を受けられた農家の皆様には、心よりお見舞い申し上げます。
1年、半年と心待ちしにしていた収穫を前に、今回のような台風で、収穫が大きな被害を受けたり、またビニールハウスなどが倒壊したりという被害は、どんなに苦しいことでありましょうか。農業には、国民の健康の基となる食を供給するという、命を守る大切な役割があります。
北海道の私どもの洞爺農場でも、今回の台風で農作物を守るための鹿除けのフェンスの一部がこわれたり、さらに遊水地に向かう道路では20本以上の倒木があり、道路も不通になってしまった。そのため8月31日(水)は、フェンスの補修を行い、また、その道が車で通れるようになるため、チェーンソーで倒れた木を切断し、車でロープを引いて倒木道路脇に寄せて、車が通れるようになるように洞爺農場の皆さんが協力して作業を行いました。結局、道路は通れるようになりましたが、通常の農作業を行うどころではなく、被害修復だけで16時くらいまでかかってしまいました。
さらに、花や背の高い作物も強風でなぎ倒され、雑草対策で引いたマルチも風でめくれあがってしまいました。
それでも、背の低い植物や苗もやられず、鹿除けのフェンスも損害は一部にとどまったということはありがいことです。農場の周りの地区でも多くのビニールハウスが倒壊の被害にあったと聞きました。洞爺農場のビニールハウスは幸い、周りを木々が覆っていたこともあり、強風による倒壊を免れました。
そして、復旧作業は、9月1日も続き、壊れたフェンスの修復や、はがれたマルチの張り直しなどに追われました。
とらこ先生はそんな洞爺農場のスタッフの報告を夕会で聞き、その労苦をこのよう話をされ、みんなの心を和ませてくれました。
とらこ先生
「農場の一番上の丘に行くまでに、道路に20何本も木が倒れていて、31日は16時前迄かかってそれを整理したと報告がありましたけれど、これらが大変な作業になるんです。ですからこういう災害が起こると人知れず皆さんも無駄な体力を使わないといけない、無駄な能力を使わないといけないから大変だと思います。しかし、これでも私たちの農場は被害が少なかったと思って感謝することが大事です。そして弱い木というのは倒れて当然という部分もあるかもしれません。こう考えてみると、例えば車で木の下を通っている時に、バッと木が倒れて落ちてこなかったのだから、ケガとしかしなくてよかったではないか。また、こういった危なっかしい木を、台風が一掃してくれて、皆倒木してくれたんだ。ありがたいことなんだ。そのように思われたらどうかな?」と、倒木の除去を行った農場の皆さんに対して、ほっとするような話をして励まされていました。
来たこと、起こったことは受けいれていくしかない。そして考え方次第によっては、心が苦しくもなるし、逆に心が楽にもなる。これは何も農業だけでない。人生の大きな苦難や苦境に遭遇した時、心楽に乗り越えていく処世術かもしれない。
それでも繰り返しになりますが私たちの幸い被害が少なかったけれど、収穫を前に、畑た田んぼが河川の決壊などで、泥水に使ってしまって全滅に近い被害を受けられた農家の方や、強い風で落果で大きな被害を受けた北海道などのリンゴ農家のことを思うと、大事に作物を愛でて育て豊作を願っていたのに一夜にしてそれが崩れ去る。どれほどのショックなことでしょうか。本当に胸が痛みます。これら打ちひしがされた農家の方にも、ぜひ農業を続けられるように国をあげて救済してあげてほしいと願います。
以下、8月31日の洞爺農場の作業日報から
洞爺農場の皆さんの台風被害復旧対応の様子などを抜粋紹介します。
昨夜未明に直撃した台風、夜が明けて暴風雨は治まっていましたが、天気は不安定で、時々雨も降りました。
近隣で平地にあるビニールハウスが倒壊している中で、社内のビニールハウスは周りが木で囲まれているためか
幸いにも被害はありませんでした。
セミナーハウス下 ジニアなど、背の高めのものはなぎ倒されたようになっていました。
入口入って左側の葛などが絡み付いていたフェンスが倒壊していました。こちら側は水が溜まりやすく、
フェンスに使われている丸太の根本が腐ってきていたので今回の台風には耐えられなかったようです。
湧水地上まで続く農道は倒木だらけ。
また道は雨水によりガタガタになっておりマットタイヤを装着したハイラックスでギリギリ走行できる状態となっていました。
倒木をチェンソーで切り落しながら道を切り開いて進みました。
マーヴェンさんはかなりチェンソーの扱いに慣れているようでガシガシ切っていました。
道は倒木だらけでなかなか進めず、倒木にロープを引っかけてハイラックスで引っ張るなどして除去していきましたが、
湧水地上の圃場にたどり着いた頃には午後4時に差しかかっていました。
湧水地上の圃場の鹿避けフェンスは、吹き剥がされた防虫ネットのあたった部分など何か所か倒壊がおこっていましたが、
幸いにも、台風に乗じた鹿などの動物の侵入は見受けられませんでした。倒れた部分は本日中に修復。
ただ、森林組合が設置したフェンスには倒木の直撃を受けたであろう箇所が何か所か見受けられるので、鹿が
入りやすくなっている状態になっていると思われ注意が必要です。
カボチャなどの蔓ものは、もみくちゃにされた感じになっています。
ダメージがどのくらいあるのか現時点では不明です。
黒大豆は軒並み倒れています。明日以降修復試みます。
背の低いレタスなどのに被害は見られませんでしたが、
奥側のほうは無残に引き剥がされた感じになっています。
後日修復を試みます。
セミナーハウス下 熟したハマナスの実を採集して、乾燥加工しました。