自然農ライブラリー

THE GMO EMPEROR HAS NO CLOTHES 『GMOは裸の王様』
A Global Citizens Report on the State of GMSs Synthesis Report
GMOの現状に関する地球市民の報告 統合報告

※遺伝子組み換え関連用語
・GMO:Genetically-modified organism:遺伝子組み換え生物
・GM:Genetically modified:遺伝子組み換えの
・GE:Genetically engineered:遺伝子操作された=遺伝子組み換えの
・Bt:Bacillus thuringiensis:殺虫微生物内蔵の

インドのGMO事情

1998年、モンサント社とインドでのビジネスパートナー、Mahycoは、GMOの環境放出を認可する法定団体である、遺伝子組み換え認定員会(Genetic Engineering Approval Committee (GEAC))の許可なく、インドで違法な遺伝子組み換え現地試験を開始した。

モンサント社は今や、綿実市場の95%を支配し、ライセンス協定によって60社ものインドの種会社をコントロールしている。モンサント社のせいで、種の値段は、キロ当たり7ルピーから3600ルピーへと押し上げられた。この値付けのほぼ半分が特許料の支払いを反映している。

Bt (Bacillus thuringiensis、バチルス・チューリンゲンシス:殺虫微生物) 遺伝子を綿に組み込む操作技術は、そもそも害虫駆除を目指していた。しかし、新しい害虫がBtコットンに出現してしまい、より多くの農薬を使う羽目になった。農民の自殺率が最も高いマハラシュトラ (Maharashtra) のVidharbha地域では、Btコットン栽培面積は2004年の20万ヘクタールから2007年には288万ヘクタールへと増加した。農民への農薬費用負担は、同時期で、9億2100万ルピーから132億6400万ルピーへと跳ね上がった。これは13倍もの増加である。Btコットンが導入されると綿実の費用はキロ当たり7ルピーから3500ルピーへと跳ね上がった。

インドの調査報告書では、農民に対する損失(赤字)が示されているにもかかわらず、また初期のBt品種は出来が悪くて認可が得られなかったにもかかわらず、さらに、アンドラプラデシ (Andhra Pradesh) の州政府がBtコットンの不出来ゆえにモンサント社を訴えているという事実にもかかわらず、モンサント社は科学者を使ってでっち上げの研究を発表し、インドの農民はBtコットンから利益を享受していたと主張した。このような研究は、バイオテクノロジー産業が提供したデータに基づいており、そうしたデータはしばしば操作された情報なのである。

モンサント社のデータ操作の一例としては、Mahyco (モンサント社のインドでのビジネスパートナー)が、その地域の試験実施施設ではすでに州政府がBtコットンの多くを全廃していたにもかかわらず、同地域の40のBtコットン試験実施施設のデータを発刊したという事実からも明白である。

インドにおける25万人の農民の自殺の多くがマハラシュトラ、パンジャブ、アンドラプラデシのコットン・ベルトで起こり、多くのコットンが今やモンサント社のBtコットンである。

国際食糧政策研究所 (The International Food Policy Research Institute (IFPRI))は、農民の自殺はBtコットンとは関係がなかったことを訴える報告書を提出した。しかし、この報告書は農民の自殺とBtコットンに関する真実をあらゆるレベルで操作したものである。

一例として、この報告書は、農民の自殺は「長期にわたる」現象であることを主張し、1997年から2007年の期間の統計データを引用している。しかしながら、10年という期間は1万年も昔からの古い農業の伝統においてはそれほど長い期間ではない。また、1997年は、種の独占 (最初は交配種による独占、また2002年からはBt作物による独占) によって、まさに自殺が多発した時なのである。また、Btコットンの導入は、時系列的に正しいものではない。事の発端はモンサント社の違法なBt実験で始まったことであって、2002年における商業化で始まったのではない。

第2に、この報告書は「特定の地域や時期には、(穀物不作によって)Btコットンが間接的に農民の自殺へとつながる負債の一因になったかもしれないが、Btコットンの不作は主にそれが導入され栽培された状況や環境の結果であって、技術としてのBtコットンに非はない。」と述べている。これは面白い議論である。技術というものは常に地域の社会経済的、生態学的条件との関連で開発されるものである。状況に合わない技術は、その状況条件下では失敗した技術である。失敗した技術を救うために条件、状況を責めることはできない。

2010年、モンサント社は、ワタアカミムシガの幼虫(綿実を食う蛾の幼虫)が、インドでは、すでにBtコットンに耐性を持ってしまったことを認めた。それで、モンサント社は、2種のBt遺伝子を持つボルガードIIを導入した。その後、3種のBt遺伝子を持つボルガードIIIが続いた。この終りのない毒の踏み車(トレッドミル) は、モンサント社にとっては都合の良いものだが、農民にとっては、ずっと増え続ける種と農薬のコストにがんじがらめにさせられる。それによって農民は、より深く借金を重ね、自殺に追いやられる。モンサント社は違法のGMトウモロコシ試験をBihar及びKarnataka州で行ったカドで捕まった。インドのバイオセーフティー法 (訳注:生態学、化学、農業、薬学、生物学などの各分野において、人間の生命と生態に深刻な影響を及ぼすことを防ぐこと) によれば、州は必ずそうした試験を認可しなくてはならない。しかし、モンサント社は、認可を求めたことは一度もなかった。Biharの州首相は環境相にこの試験をやめさせるよう書面で訴えた。

2010年2月、インド環境相のJairam Rameshは、国中で公聴会を行った後、Btナス(Bt Brinjal) の市場販売の一時停止(禁止)を命じた。公聴会の過程で、遺伝子組み換え作物が非科学的根拠に基づいて商品化されていること、また規制上の混乱、バイオセーフティーにおける堕落が発覚したからである。

モンサント社は、米―印 農業知的イニシアチブ (US-India Knowledge Initiative in Agriculture)、二国間農業自由貿易協定の理事メンバーである。これは、モンサント社が、いかに米国政府とインド政府にアクセスし、不当な圧力を振るっているかを示す一例である。

日本のGMO事情

現行、日本ではGM (遺伝子組み換え) 作物の商業栽培は行われていない。 しかしながら、日本は食料の約60%を輸入しており、その多くがGMOであるがゆえに、日本国民はGMO食品を消費していることになる。

モンサント社は米国政府と結託して、日本におけるラベル表示基準を最小限にしている。 その結果、ラベル表示義務が包括的ではない。例えば、油脂製品のラベル表示には強制的な規則がなく、そのほとんどが遺伝子組み換えの大豆、コーン、菜種を含んでいる。日本はまた動物用飼料にラベル表示を義務付けていない。また日本では、GMOが5%まで残留している食品についても「遺伝子組み換えではない」として表示することが許されている。

GMOはまた食品や種の輸入を通じて、日本に入っている。輸送中にこぼれ落ちた遺伝子組み換えの菜種は特に問題であり、在来種の農作物、雑草、食用植物と交配されてしまう。野生の菜種はGM菜種に汚染されてしまい、ブロッコリーのような食用作物とハタザオガラシのような雑草に導入遺伝子交雑が起こっている。

種の汚染が見つかったとき、モンサント社は、特許権は主張するが、このこぼれ落ちたGM菜種によって引き起こされた種の多様化の脅威に対しては責任を取らないのである。

健康に対する安全性

GE (Genetically engineered:遺伝子組み換え) は裸の王様、すなわち、GE作物は世界の人々に食糧を供給できないだけでなく、世界中に害を与え、奴隷化する。 モンサント社やバイオ産業が行った見当はずれな主張の中に、GE食品は安全である、というものがある。しかし、GE食品が健康障害を引き起こしうることを示す独自の研究は十分存在する。 例えば、アルパド・プシュタイ博士 (Dr. Arpad Pusztai:スコットランド) の研究では、ラットにGEジャガイモを与えた実験結果として、すい臓の肥大、脳の収縮、免疫障害が認められた。エリック・セラリーニ博士 (Dr. Eric Seralini) の研究でも臓器障害が起こりうることが示された。

GMOラット

写真の説明:イリーナ・エルマコヴァ (Irina Ermakova) による実験:同じ年齢のラットに対するGM(遺伝子組み換え)大豆(ラウンドアップ・レディー)の影響;左側は対照群ラット、右はGM大豆を与えたラット、子供並みの体長、体重である。

CRIIGEN (The Committee of Independent Research and Information on Genetic Engineering:遺伝子組み換えに関する独自研究・情報委員会)、及び、カン (Caen) とルーアン(Rouen) (フランス)の大学は、欧州理事会(EC)の命令で行われたモンサント社の2002年ラット飼育試験の生データを入手することができ、2005年に公表した。研究者によると、3種の認可されたGEトウモロコシ品種-Mon 863、害虫抵抗性GMトウモロコシ、Mon 810,及びラウンドアップ・レディー除草剤耐性トウモロコシ-で飼育したラットに臓器の損傷が見られた。カン大学の分子生物学者であるエリック・セラリーニ博士 (上述) によれば、そのデータは、「腎臓や肝臓、食物解毒器官に悪影響を及ぼす上、心臓、副腎、脾臓、造血系に様々なレベルの害を及ぼすことを明確に示している。」 (「3種のGMトウモロコシ品種の哺乳類の健康に及ぼす結果比較」Joel Spiroux de Veu de Mois, Francois Roullier, Dominique Cellise, Gilles Eric Serelini, 生物科学国際ジャーナル2009年, 5:706-726).

バイオ産業は、プシュタイ博士、セラリーニ博士、GMOに関する独自調査を行うあらゆる科学者を攻撃した。GMOは科学の独立や自由とは共存できないのである。 カナダの研究でも、女性の93%の血液及び、80%の臍帯と胎児血の中に、モンサント社のBt(遺伝子組み換え)トウモロコシ由来のBt毒が発見されたことを発表した。(Aris A、LeblancS、「カナダ、ケベックの東居住区における遺伝子組み換え食品にかかわる殺虫剤に対する肉体的暴露及び胎児暴露」、生殖毒性学、2011年5月31日(4)526-33、電子出版2011年2月/8)

モンサント社の安全性に対する虚偽の議論としては、Bt (遺伝子組み換え) 作物におけるBt毒は、そのタンパク質(Bt菌が作り出す結晶性タンパク質=Bt毒)が消化器官で分解されるがゆえに人体の健康に何ら危険をもたらさない、というものであるが、研究によれば、Bt毒は妊婦の血中でも生き延びており、胎児の血中にも検出されたことを示している。

ラットに、ある認可済みのGEトウモロコシ品種(Mon 863)を餌として与えたところ、肝臓、腎臓における毒性の証拠が現れた。(Seralini GE, Cellier D. & Spironx de Vendomois, J, 2007,「GMトウモロコシによるラットの飼育研究の新分析」、環境汚染および毒物学のアーカイブ(保存記録)、10, 1007, S00244-006-0149-5)。モンサント社が自社の除草剤耐性ナタネ、ラウンドアップ・レディー・ナタネ種GT-73をラットに餌として与えた時にも、同様の結果が観察された。そのラットでは、肝臓重量で12-16%の増加が見られた。(グリーンピース2004年、「モンサント社のラウンドアップ・レディー ナタネ品種、GT-73に関するグリーンピース批評」)

2005年、CSIRO (オーストラリア科学産業研究機構) は、GEエンドウ豆がねずみ実験でアレルギー性の肺障害を引き起こしたため、GEエンドウ豆の10年に及ぶ開発計画を断念した。(Young E. 2005年、GEエンドウ豆がねずみでアレルギー性障害を引き起こす、ニュー・サイエンティスト)

ナヴダーニャによって、インド、VidharbhaのBtコットン栽培地域で、ある調査が行われた。 Btコットンが3年にわたって栽培されている25の畑が選ばれ、同じ期間に他種のコットンが栽培されている、あるいは他の作物が栽培されている、隣接田畑と比較された。そこはNgpur、Amravati、Wardhaおよび隣接する地域に及んでいた。その結果、Btコットン栽培畑では、過リン酸塩(26.6%)、ニトロゲナーゼ(22.6%)、デヒドロゲナーゼ(脱水素酵素)(10.3%)など、酵素活性における著しい減少が見られた。エステラーゼ(7.6%)、アルカリ性フォスファターゼ(0.7%)活性では僅かな減少しか観察されなかったが、この結果は統計的に有意なものではない。 これらの実験結果は、Btコットンの栽培が土壌生物学的健康状態に間違いなく影響を与えている、特に有用微生物 (放線菌、バクテリア) や酵素 (過リン酸塩、ニトロゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ(脱水素酵素))に影響を与えていることを明らかに示している。(Btコットンの栽培による土壌生物活性に関する結果、ナヴダーニャ、2008年)

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